【80%は日本が輸入】MG RV8 英国版中古車ガイド 3.9L V8のブリティッシュ・スポーツ

公開 : 2021.09.20 08:25  更新 : 2021.10.15 13:25

ローバー傘下にあったMGの晩年に生み出され、多くが日本へ輸出されたRV8。クラシック英国スポーツとの付き合い方を、英国編集部がご紹介します。

MG RV8の80%は日本へ輸入された

執筆:John Evans(ジョン・エバンス)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
AUTOCAR英国編集部がMG RV8へ試乗したのは、1993年だった。「時代錯誤な面もありますが、不思議と好感が持てます」。と、当時の印象が結論づけられている。

リアのサスペンションはリーフスプリングで、ブレーキはドラム式。ウッドとレザーのインテリアは、まさにオールドスクール。一方で前後のトレッドは広く、エンジン制御システムは現代的なものが載っていた。

MG RV8(1992〜1995年/英国仕様)
MG RV8(1992〜1995年/英国仕様)

インジェクション式の3.9L V型8気筒エンジンは、オールアルミで192psと32.4kg-mを発生。FRで、クワイフ社製のLSDも組まれていた。確かに好感が持てそうだ。

MG RV8を特に好んだのが日本人。1992年から1995年に製造された約2000台のうち、80%の1600台ほどが日本へ輸出されている。海を渡ったMG RV8の多くにはエアコンが載り、ボディはウッドコート・グリーンという色で塗られた。

日本人が乗り飽きた頃、英国人が逆輸入。800台ほどが戻ってきており、現在の中古車市場で流通している。

MGがRV8を作ろうと考えたのは、ローバーのヘリテージ部門がMGBのボディシェルをレストア用に再製造したのがきっかけ。マツダMX-5(ロードスター)の登場で、2シーターのオープンスポーツカーという需要があることは明白だった。

ローバーも独自モデルを作ろうと考え、1990年代版のMGBを開発するに至る。V8エンジンを搭載しつつ、可能な限りMGBの部品を利用する方向で設計が進められたが、結果的に用いられたのは全体の5%程度。見える部分としては、左右のドアくらいだ。

ドアはMGBと同じ 5速MTは2種類ある

開発費用の上限は、500万ポンド。結果としてMG RV8には古いMG譲りのリーフスプリング・サスペンションとドラムブレーキが採用されている。

一方、同時期のTVRキミーラは、RV8と同じV8エンジンの4.0L仕様を搭載。前後に独立懸架式のサスペンションとディスクブレーキを備えていた。価格もRV8より安価で、優れるライバルとしてしばしば比較された。

MG RV8(1992〜1995年/英国仕様)
MG RV8(1992〜1995年/英国仕様)

英国ではRV8の評価は振るわなかったものの、日本市場は大歓迎で迎えてくれた。ローバーにとっては、予想外のうれしい反応だったに違いない。そのおかげで現在の英国では、里帰りした状態の良いMG RV8を選べる。

日本仕様の場合、整備履歴や所有履歴を辿ることは少々困難。ウッドコート・グリーンという色も英国人にとっては魅力に欠け、英國仕様より価格はわずかに安い。

新車時に英国人が買ったRV8は、オックスフォード・ブルーやナイトファイア・レッド、ルマン・グリーン、ブリティッシュレーシング・グリーン、ブラックといった、多彩な色で仕上げられている。人気は高いが、数は少ない。

RV8の5速MTには、2種類が存在する。初期型のRV8に乗っていたMTは、ローバーSD1の改良版で、LT77S型と呼ばれる。生産が進み、途中からR380型と呼ばれるユニットに置き換わった。

MTの違いを見極めるのは簡単。LT77S型の場合はリバースが左側にある。R380型では右下だ。

詳しく見るほどに、他にも多くの特長を発見できるMG RV8。今という時代だからこそ、好感を持つ読者も多いのではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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