【詳細データテスト】ベントレー・コンチネンタルGT 高級高速クーペの傑作 本格スポーツではない

公開 : 2022.01.01 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

当然というべきか、プラットフォームは標準モデルと同じフォルクスワーゲングループのMSBを使用するGTスピード。アダプティブダンパーを備えた3チャンバー式エアサスペンションや8速DCT、電子制御アクティブ4WDシステムなどもキャリーオーバーしている。ただし、制御用のソフトウェアは再調整され、よりスポーティな性格づけがなされている。

そのほか、通常のGTではオプションになるベントレーダイナミックライド、すなわち48V電源を用いるアクティブスタビライザーは標準装備化。もちろん、これもGTスピード専用チューンが施されている。

スピード仕様の22インチホイールは標準装備。通常のGTよりサイズアップしているが、1サイズのみの設定なので、乗り心地のチューンは容易なはずだ。このカラーリングは、オプションのマリナードライビングスペシフィケーションに含まれる。
スピード仕様の22インチホイールは標準装備。通常のGTよりサイズアップしているが、1サイズのみの設定なので、乗り心地のチューンは容易なはずだ。このカラーリングは、オプションのマリナードライビングスペシフィケーションに含まれる。    WILL WILLIAMS

このスタビライザーには、標準仕様以上に高度な作動が求められる。というのもGTスピードには、フライングスパーで採用済みの四輪操舵システムが搭載され、これとの協調制御が必要になるからだ。

後輪操舵をマルチリンクサスペンションのタイロッドを動かすことで行うメカニズムは、フライングスパーと共通だ。とはいえ、そのチューニングはまったく異なっている。その目的は、逆位相操舵でホイールベース短縮と同様の効果を生み、低速での取り回しを改善するだけに止まらない。

ヨーセンターをリアアクスルから前方へ移動し、コーナリング時にシャシーのより中心寄りを旋回軸とすることを可能にするのだ。ベントレー曰く、この4WSシステムの効力は、舵角が増すほどにアグレッシブさも増すという。

そして、ベントレーがGTスピードではじめて市販車に導入したのが、トルクベクタリング機能を持つ電子制御リアデフだ。遊星ギアとひと組のクラッチを組み合わせたそれは、オープンデフとしても、左右等分固定ユニットとしても機能するだけではない。

制御ユニットが適切と判断すれば、アウト側の後輪へより多くの駆動力を分配することもできる。これにより、トラクションを改善するだけでなく、いうなればハンドリングバランスやコーナリング時のシャシーの挙動を、ドライバーのスロットル操作で調整できる幅が広がることにもつながる。

4WDシステムの前後駆動力配分は、スポーツモードでは30:70が基本だが、場合によってはもっとリア寄りにもなる。しかしクルーのエンジニアは、コーナリング中に2度3度と前後配分を変更するアクティブ制御を選択した。これにより、さまざまなトルク配分でコーナーへ進入してから後輪を安定させ、荷重や推進力、挙動を、ドライバーの気づかないうちに操作する。

エンジンはチェシャー工場製の6.0LツインターボW12を軽く改修したバージョンで、通常バージョンより24psアップの659psを発生する。91.8kg-mのトルクに変化はない。ブレーキは鋳鉄ディスクを標準装備するが、4枚で33kg軽量化でき、市販モデルでは最大サイズとなるカーボンセラミックディスクがオプション設定されている。

テスト車の実測重量は2279kgで、2018年に計測したW12クーペより16kg軽い。それでも、やはり重量級であることに違いはない。これはまさしく、ベントレーの高級車なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事