【詳細データテスト】ベントレー・コンチネンタルGT 高級高速クーペの傑作 本格スポーツではない

公開 : 2022.01.01 20:25  更新 : 2022.03.15 03:57

走り ★★★★★★★★☆☆

ベントレーの巨大な、4列シリンダーのW12ツインターボは、これまでもそうだったが、これ見よがしなところのないエンジンだ。高回転まで回るわけではなく、サウンドも聞くに値するほどのことはない。GTスピードであっても、標準モデルよりちょっとだけ音が大きい程度だ。

最高回転数は6000rpmを少し超えるのみ。しかも車両重量のせいもあって、GTカーのカテゴリーで文句なしのパフォーマンスキングにはなれない。

車体は重いが、4WDと極太の低速トルク、3速までが低めのギア比により、発進加速はかなり強力。ただし、高いギアはハイギア気味。出力にはややラグがあるが、操作次第でよりスムースに走らせることができる。
車体は重いが、4WDと極太の低速トルク、3速までが低めのギア比により、発進加速はかなり強力。ただし、高いギアはハイギア気味。出力にはややラグがあるが、操作次第でよりスムースに走らせることができる。    WILL WILLIAMS

それでも、GTスピードは何不自由ないほど強力だ。変速比もファイナル比も通常のW12モデルと同じなので、1〜3速は比較的ローギアード。4WDと91.8kg-mのトルクもあって、2.3t級の高級クーペでありながら0−97km/hは3.4秒、変速ありの48−113km/hはたったの2.7秒だ。いずれも、3年前に計測したW12クーペより0.2秒ほど速い。発進加速は、よりパワフルなアストンマーティンDBSスーパーレッジェーラさえ凌ぐ。巨体のわりには悪くない。

ただし、161km/hを超えるとアストンが逆転する。0−1km加速もアストンが上だ。というのも、高いギアがハイギアードなのだ。トップなら、1000rpmで80km/hを超え、計算上は499km/hに達する。8速はDBSよりおよそ20%高い。だが、トップギア固定で97km/hくらいからスロットルペダルを踏み込めば、アストンより早く129km/hに届く。これは、最大トルクの発生回転数が1500rpmと低いからだ。

スロットルのオン/オフをすると、わずかなラグがあり、大きく急なペダル操作をするとやや粗野な感じがするのは、トルクが駆動系へ送られるのが要求より少々遅れるからだ。

しかし、ペダルを蹴飛ばすようにするのではなく、じわじわ踏み込み、さらにマニュアル変速をすれば、もっとスムースで意に沿った走りになる。なお手動変速は、思ったより少しだけ早めに操作するのがベターだ。そうすれば、GTスピードの速さが期待を裏切ることはまずない。

Dレンジに入れっぱなしなら、極めてシームレスな変速を見せる。DCTは2速で回るヘアピンへハードに突っ込んでも、必要とするクイックで確信を持ったシフトをしてくれる。日常使いではゆったり走ることもあり、リバースやドライブへ繋ぐときはスローだが、タイミングやギア選択は動きに対して直感的だ。

いっぽう、オプションのカーボンセラミックブレーキは、高速時の効きやサーキットでの制動力がやや不足気味。ペダルはややオーバーアシストで、マニューバリング時には過敏なところがある。しかし、常に悩まされるというものではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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