ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0Tへ試乗 足を引っ張るパワートレイン

公開 : 2022.01.26 08:25  更新 : 2022.01.27 08:18

印象的なスタイリングとドライビング体験のG70。しかし、パワートレインが足を引っ張ると英国編集部は評価します。

マイルドの付くハイブリッドすら用意なし

韓国ヒュンダイが仕掛ける上級ブランド、ジェネシス。北米などでは数年前から展開されていたが、2021年末に英国上陸を果たした。

ここ数か月の間に販売されたジェネシスは127台。目新しいデザインで、ロンドンの通行人の視線を集めていることだろう。フロントを飾るエンブレムは、目を細めればアストン マーティンのものにも見えなくはない。

ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)
ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)

サルーンのG70や、SUVのGV70といったモデルはグローバル展開されるが、G70のシューティングブレークは欧州専用設計。ジェネシスの意気込みが詰まった、欧州市場での姿勢を最も明確に体現するべきモデルといえる。

ところがこのシューティングブレークには、純EVやPHEVはおろか、マイルドの付くハイブリッドすら用意されていない。すでに英国の公道を走り始めているものの、パワートレインの選択には疑問が残る。

英国でも、純EVの普及が急速に進んでいる。ポールスターテスラをはじめとする、純EV専門の上級ブランドも確実な成功を掴んでいる。そんなタイミングなのだ。

ディーゼルターボ・エンジンへ欧州市場の注目が集まっていた時期に、V6ガソリンエンジンだけで上陸してきた日産インフィニティを筆者は思い出してしまった。果たして今回、市場はどう判断するのだろうか。

そんなエンジンのラインナップは、196psか244psを発揮する2.0L 4気筒ターボガソリンと、199psを発揮する2.2L 4気筒ターボディーゼル。今回は英国市場でのトップグレードとなる、244psのガソリンターボへ試乗してみたい。

ラグジュアリーさを漂わせるデザイン

国仕様の場合、G70は後輪駆動のみで四輪駆動は選べない。トランスミッションは8速オートマティックだ。仕様はラグジュアリーラインで、最上級のトリムグレードとなる。

このラグジュアリーという言葉を最も良く表しているのが、インテリア。オプションのナッパレザーが奢られ、見た目だけでなく触れた時の印象も明らかに上質だ。ちなみに、2470ポンド(約38万円)の追加となる。

ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)
ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)

プレミアムブランドに対峙したい、ジェネシスのポジショニングにも合致している。個性的で快適な車内だと思う。ドイツ御三家とは異なるインテリアに仕立てられている。

そんな印象は、ボディの見た目にも表れている。フロントグリルやディティールは、どこかでの既視感もなくはないが、全体のプロポーションや面構成などは、このクラスに新風を与えている。

欧州車的でもあり、前回の試乗レポートではサーブアルファ・ロメオジャガーといったブランドのモデルにも通じる雰囲気があると触れられていたが、筆者も否定はしない。

ドライビング体験にもジェネシスなりの個性が備わっている。シャシーは英国の一般道にもしっかり合わせてチューニングを受けており、乗り心地は特に評価できる点だ。

路面状態にタイヤとサスペンションがどう処理しているのか、正確にドライバーへ伝えてくれる。BMWにも似た質感といえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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