日産「アリアB6」試乗 eパワーの知見が、EVを進化させている その走りとは

公開 : 2022.04.23 21:05  更新 : 2022.04.23 22:15

日産の新型EV「アリア」の試乗レポート。バッテリー容量が小さい「B6」、その前輪駆動車を検証します。ブルーのナッパレザー内装も魅力です。

RAV4サイズ 航続距離470km

クルマの電動化は既定路線。将来的にBEVが主流を成すのも間違いないだろう。そのBEV市場をリードする1社となるニッサンが満を持して投入したモデルが「アリア」である。

外観を見てのとおり全長4595mm、全高1655mmのSUVパッケージングを採用。国産SUVではRAV4と同等サイズである。キャビン実用性の確保やバッテリーの積載性からバランスのいいパッケージングだ。

日産アリアB6(FF/ダークメタルグレー):539万円
日産アリアB6(FF/ダークメタルグレー):539万円    宮澤佳久

アリアにはバッテリー容量で2仕様、それぞれにFFと4WDを用意。4WDは前後に独立して制御されるモーターを配したツインモーター式を採用している。

試乗した「B6」のFF仕様はアリアのラインナップでは走行性能面のベーシック仕様となり、66kWhのバッテリーを搭載し、モーター最高出力は160kW(218ps)。

ちなみにリーフのバッテリー容量は40kWh、モーター最高出力は110kW(150ps)であり、スペック面でも車格を大幅向上したのが理解できる。

なお、WLTCモードに於ける1充電走行距離はアリアのラインナップでは最長となるモデルであり、470kmとなっている。

長駆レジャーにも余裕とまでは言えないし、長距離用途では事前に充電スポットを調べる必要もある。ただ、一般的な日帰りレジャーなら満充電で賄える計算で、条件が揃えば内燃機車代替の道も見えてくる。

進化する「電動」の味付け

駆動用モーターが独特だ。

一般的なBEVに用いられる同期モーターはローターに永久磁石を使用するが、アリアは巻線界磁式と呼ばれるローター側にも電磁石を用いたモーターを使用している。

日産アリアB6(FF)の前席内装。試乗車はブルーグレーのナッパレザー・シート。
日産アリアB6(FF)の前席内装。試乗車はブルーグレーのナッパレザー・シート。    宮澤佳久

低トルク稼働時の効率と希土類(磁石)不要が利点。メンテナンス性が短所とされている。

新方式のモーターを採用して走りも変化するか、とも考えて試乗に臨んだが、結果はリーフやノートで培ってきた制御技術の現時点での集大成といった印象だった。ブレがない。

先代ノートeパワーでは、電動ならではの起動と低回転域のトルクを活かしたダッシュ力が見所。強い蹴り出しをして暴れ馬にしないのは巧みだが、いささか誇張しすぎてドライブフィールの洗練さに乏しかった。

即応性と初期加速のよさを残したまま、加速度の繋がりを滑らかにしたのが現行ノートeパワーで、その改良の延長上にアリアがある。

アリア開発で得た制御技術をノートに先行採用させた、と考えてもいいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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