2代目へ一新で競争力維持 キア・ニロ・ハイブリッド 試作車へ試乗 C-HRの競合 後編

公開 : 2022.05.17 08:26

韓国キアの人気クロスオーバー、ニロが2代目へモデルチェンジ。初代の成功受け継いだ改良を、英国編集部は評価します。

パワートレイン自体は初代から継続

2代目へ間もなくモデルチェンジするキア・ニロ。まだプロトタイプ段階だったが、運転した印象は可もなく不可もなく。強く褒めるほどではないが、不快に感じることはない。

先代のニロも、当たり障りのないフィーリングだった。その成功を受けて、2代目も大きく路線変更されることはなかったのだろう。それでも、ダイナミックなEV6を味わってしまうと、もう少しの変化は欲しいところだ。

キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)
キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)

基本的に、パワートレイン自体は初代からのキャリーオーバー。システム総合での最高出力は141psと車格としては充分ながら、バイパスの上り坂や高速道路への合流などでは、4気筒エンジンが頑張っている様子が車内へ伝わってくる。

エコとスポーツ、2種類のドライブモードが用意されている。初代のエコ・モードで顕著だったアクセルレスポンスの鈍い設定は、改善された。

6速デュアルクラッチATも、基本的には従来と変わらず。HR-Vが搭載するトヨタのCVTハイブリッド・システムとは異なり、エンジンの回転数が不自然に高まることはない。バック用のギアがなく、駆動用モーターの逆回転で受け持つそうだ。

走りは概ねスムーズ。まれに、エンジンが突然介入するような場面で僅かにギクシャクする様子が見られたが、ルノーのE-テック・システムより活発でもある。

コーナリングもそつなくこなすシャシー

シャシーも、基本的な素性は良い。トレッドが先代から広げられ、サスペンションはリア側にマルチリンク式が採用されている。タイヤはコンチネンタル・プレミアム・コンタクトを履いていた。

明確に大きくなったニロだが、車重増は抑えられている。むしろ優れたプラットフォームのおかげで、純EV版は70kgも初代から軽くなっている。

キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)
キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)

表面が傷んだアスファルトの処理は、あまり得意ではない様子。舗装が剥がれた穴を通過すると、ボディに明確な振動が伝わっていた。とはいえ、目くじらを立てるほどではないだろう。

コーナリングもそつなくこなす。しっかり路面を掴みながらラインを縫っていく。ステアリングホイールへ伝わる感触は薄め。ボディロールは大きく、タイヤが簡単にスキール音を立てるから、ワインディングを活発に運転するクルマではないと気付かされる。

音響的な洗練度は、ニロの苦手分野。ロードノイズやサスペンションノイズ、風切り音などが車内へも響いてくる。とはいえ手頃なクロスオーバーとして、不自然にうるさいわけではない。

英国での価格設定や装備は、ライバルを強く意識したものといえる。ハイブリッド版のトリムグレードは3種類。エントリーグレードが2万7745ポンド(約463万円)からで、最上位は3万3245ポンド(約555万円)からとなる。

カタログ燃費は20.9km/L前後になるようだが、プロトタイプということで、まだ確定した数字ではないという。ちなみに初代ニロを英国編集部が試乗した際の燃費は、17.7km/L前後だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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