エンジンに失望させられた名車 24選 パワー不足や故障に泣いた不運のモデルたち

公開 : 2022.07.09 06:05

キャデラック(1981年)

1980年代前半、キャデラックのV8エンジンには、V8-6-4というオンデマンド技術が搭載されており、エンジンにかかる負荷に応じてシリンダーが2本ずつ停止する仕組みになっていたのだ。

GMはこのシステムを、1981年のキャデラックの全ラインナップ(ディーゼルは別)に果敢(というより無謀)にも導入したのである。しかし、当時は電気系統が未熟で、演算能力が低く、システムを正常に作動させることができなかったため、トラブルが相次いだ。

キャデラック(1981年)
キャデラック(1981年)

やがて、ディーラーにはこのシステムを停止するよう指示が送られ、エンジンは常に8気筒で動くようになった。1年後にはラインナップから廃止。こうした気筒休止システムが再び流行するのは、さらに20年ほど後のことである。今度はもっと強力なコンピューターに助けられるのだが。

写真:キャデラック・セビル

シボレーカマロ(1982年)

初代シボレー・カマロは、見た目もよく、モデルによってはかなりのマッスルを味わうことができる。しかし、時とともに状況は悪化し、1982年には最高出力93psの2.5L 4気筒エンジンを搭載したカマロが販売されるようになった。非力さ故に、最高速度160km/hにたどり着くのが精一杯。マッスルカーでありながら、そうとは呼べないモデルだ。

シボレー・カマロ(1982年)
シボレー・カマロ(1982年)

ポンティアック・フィエロ(1983年)

米国の自動車メーカーは保守的なことで知られており、そのため長年にわたってミドエンジンのスポーツカーをほとんど製造してこなかった。数少ない一例が、このポンティアック・フィエロである。

鋳鉄製の2.5L 4気筒エンジンを搭載していたが、高回転よりも低速トルクを重視して設計されており、スポーツカーとしては理想的とはいえない。しかし、それ以上に、このエンジンのコンロッドは粗悪なもので、折れてブロックに穴を開け、高温の排気にオイルを流して発火させるという欠点があった。

ポンティアック・フィエロ(1983年)
ポンティアック・フィエロ(1983年)

せっかくミドシップレイアウトに挑戦したのに、エンジンの信頼性に泣かされた悲しい1台だ。

クライスラーTCバイ・マセラティ(1986年)

高級志向の2シーター・コンバーチブルには誰もが期待する。クライスラーが打ち出したコンセプトも良かったのだが、その実現には失敗した。

米国とイタリアのブランドが共同開発したクライスラーTCバイ・マセラティは、見た目こそなかなかスマートだが、ハンドリングは期待はずれであった。ターボチャージャー付き2.2L 4気筒エンジンも、80年代のマセラティ製と聞いてお察しの通り、信頼性は低かった。

クライスラーTCバイ・マセラティ(1986年)
クライスラーTCバイ・マセラティ(1986年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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