エンジンに失望させられた名車 24選 パワー不足や故障に泣いた不運のモデルたち

公開 : 2022.07.09 06:05

どんなに優れたクルマでも、搭載するエンジンがダメなら色褪せてしまいます。パワー不足、信頼性の低さ、快適性の低さなどに苦しめられたモデルを振り返ります。

クルマの良し悪しは「ハート」で決まる?

自動車史に名を残すほどではないにしても、成功作と呼べるクルマは数多く存在する。成功するか否かにはさまざまな要因が絡んでくるが、エンジンの優秀さに左右されるところも大きいだろう。良くないエンジンを搭載してしまったせいで、成功を掴みそこねたクルマはとても多い。

あまり評価されないエンジンの特徴は、信頼性の低さ、洗練度の低さ、パワー不足、あるいはこれらすべてを備えている。今回紹介するクルマは、「ダメなエンジン」のせいで日の目を見ることができなかった者たちだ。パワートレインの誤った選択によって、その運命を決定づけられてしまったのである。

他の部分が良くても、エンジンに欠点があり魅力が減ってしまった。そんな「惜しい」モデルを見ていこう。
他の部分が良くても、エンジンに欠点があり魅力が減ってしまった。そんな「惜しい」モデルを見ていこう。

MGAツインカム(1958年)

英国のスポーツカーブランド、MGが開発したMGAは、華麗なラインとスイートなハンドリングを持つ、非常に魅力的なクラシックカーである。ほとんどのモデルが1.5Lまたは1.6Lのオーバーヘッドバルブエンジンを搭載しているが、2000台以上の個体が、標準的なMGAのBシリーズユニットをベースに開発されたツインカムエンジンを搭載していた。

MGAにのみ搭載されたこのダブルオーバーヘッドカムエンジンは、最上級の燃料と正確な点火タイミングを要求してくる。どちらが欠けてもピストンに穴が開きやすく、また、調子が悪いと拗ねてオイルを燃やすという悪癖があり、ユーザーからは敬遠されてしまった。

MGAツインカム(1958年)
MGAツインカム(1958年)

クライスラー・ガスタービン(1963年)

本格的な量産に至らなかったこのクルマを取り上げたのは、クライスラーをバカにしたかったからではない。限界に挑戦する自動車メーカーがなければ、我々のカーライフ、ひいては社会環境も大きく変わっていたかもしれない。しかし、クライスラー・ガスタービン(ターバインとも呼ばれる)は、あまりにも行き過ぎた実験であった。

このクルマは一般的なピストンエンジンとは異なる、自社開発のタービンエンジンを搭載。最高6万rpmまで回転させることができるという。わずか50台しか製造されず、実地評価のために一般家庭に貸し出されたのみで、市販化には至っていない。

クライスラー・ガスタービン(1963年)
クライスラー・ガスタービン(1963年)

航空機のジェット化が進み始めた時代の先進的なパワートレインであったが、緩慢な加速、衝撃的な燃費、複雑な始動方法、快適性の低さ(騒音)など、支払う代償が高すぎた。そのため、通常のV8エンジンの方がはるかに良いと結論づけられている。

ヒルマン・インプ(1963年)

インプは、その軽量なボディ、スムーズな変速、軽快なエンジンなど、名車となれる素質を多く備えている。リアに搭載されたオールアルミ製875cc水冷4気筒エンジンは、とてつもない運転の楽しさをもたらし、ミニに対抗するのにも十分な性能を持っていた一方で、泣きどころの1つにもなっていた。

初期型では空気圧式スロットルの問題だけでなく、オーバーヒートでヘッドガスケットが吹き飛んだり、シリンダーヘッドがゆがんだり、ブロックが変形したりすることがよくあった。後期型ではほぼ解決されたが、インプの名声はそのころには崩れていた。

ヒルマン・インプ(1963年)
ヒルマン・インプ(1963年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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