【実際に購入レポート】EV普及は遅々として 日産リーフ3台乗り継ぎ11年 オーナーから見た「EV普及」に必要なコト

公開 : 2022.07.19 06:45  更新 : 2022.07.22 07:24

日産リーフ3台、11年を乗り継いできた筆者は、EV普及のカギは宿泊施設の夜間充電設備の充実と考えます。

EV普及、遅々として進まず

執筆/撮影:Kaoru Kobayashi(小林薫)

日産リーフを3台乗り継ぎ、5年前からはバッテリー容量40kWhのZE1型。2011年に初期型リーフに乗り始め、EVライフも11年が経ちました。

日常生活中心で、遠出は1~2回/月、ここまでのZE1型の走行距離は約3万7168km。

急速充電設備が2台運用になった筆者自宅近くの日産ディーラー
急速充電設備が2台運用になった筆者自宅近くの日産ディーラー    小林薫

遠出は、自宅の甲府から東京や周辺の温泉地などで、1日の走行距離は多くても200kmです。

初期型ZE0型は、いろいろとありましたが、ZE1型になってからはずいぶん快適になりました。

当初、EVの普及はもっと早く進むものと思われました。

しかし、10年以上たった今でも、遅々として進んでいません。EV普及の決め手は何なのか?

今年は、高級SUVや軽のEVが発売されました。

車種の選択肢が増えることは、幅広いユーザーの購入が期待できます。

とくに軽のEVはなかなか魅力的で、ある一定のユーザーを獲得しそうです。

しかし、購入者のEVへの興味は必須で、それなりにハードルは高い。

また、エンジン車と比べ車両価格は高額で、これが起爆剤になるかはまだ未知数です。補助金なしでの金額はまだまだ高価に思えます。

急速充電スポットも増えていき、EVの利便性は高まります。

自宅近くの日産ディーラーも、設備更新により2台運用となりました。

けれど、他の人の充電待ちや充電時間の必要性は大きなデメリットです。

これからEVの台数も増えてくると、さらに厳しい状況が予想されます。

また、予定していた充電スポットが故障で運用停止していたこともありました。

急速充電の利用を前提にした旅の計画は、避けたくなります。これも普及の足掛かりになるとは思えません。

夜間充電の充実が必要

ガソリン車にはない最大の課題は、時間を要する充電です。

この充電の不安から、EVへの乗り換えをしない人も多くいます。

箱根の宿「佳ら久」での200Vコンセントによる充電
箱根の宿「佳ら久」での200Vコンセントによる充電    小林薫

航続距離の短さについては、もし充電の問題が解消されれば、大きな問題ではなくなります。

EVに11年乗った経験からいえば、EV普及への決め手は「夜間充電」の充実ではないかと思っています。

夜はほとんどのクルマは車庫か駐車場にあります。

そこで満充電にできると、翌日はそのEVの航続距離分を走ることができます。

1日に航続距離以上走る時だけ、追加充電すれば済みます。

夜間充電の最も効果が高いのは、マンションなどの集合住宅での夜間充電です。

EVに興味を持つ人は、マンションなどのある都市部に多い。

しかし、これはなかなか難しくこの普及には時間が必要となります。

本格的なEV普及には、これがとても重要で期待されます。

次善の策として考えられるのが、ホテルや旅館などの宿での夜間充電です。

EVで遠出すると、おのずと宿に泊まることは多い。

そこで充電できると、翌日はほとんどバッテリーの心配がなくなります。

時間的なロスはなく、とても便利な充電方法です。

最近のEVのバッテリー容量は、日常生活には十分で、問題なのは遠出の時。

11年間の経験からも、これが利用できた時はとても快適な旅になっています。

軽のEVでも、その加速性能の良さから間違いなく遠出したくなります。そのような場合に、とくに有効なのではと思います。

また、旅行先の飛行場や新幹線の駅でレンタカーを借りることは多くあります。

その場合、宿泊する宿で充電できるとEVレンタカーの利用がもっと増えるのではないでしょうか。

旅先の観光スポットなどを、EVで巡るのは魅力的です。

しかし、知らない土地の充電スポットを事前に考えておくことには無理があります。

日産リーフを3台乗り継ぐ 小林薫氏が寄稿 長期レポートの前後関係

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