クルマの欠陥デザイン 自動車史に残る?設計ミス 23選 失敗から学ぼう

公開 : 2022.07.30 06:05

クルマの設計は非常に難しい作業であり、時には間違えてしまうこともあります。しかし、たった1つのミスが、企業を倒産に追い込むこともある厳しい世界です。今回は、世界的に有名な「失敗例」を紹介します。

歴史に残るかもしれない設計上の「失敗例」

クルマの設計というのは、非常に複雑な仕事であり、失敗も多い。数万点の部品を抱えながら、安全性、快適性、実用性、室内空間、求められる性能などを、すべて予算の範囲内で整えなければならないのだ。

日々、自動車メーカーが非常に多くのクルマを正しく走らせていることに、もっと感謝すべきなのかもしれない。しかし、時には間違うこともある。そもそものアイディアが悪かったり、良いアイディアがうまくいかなかったり、短い流行に乗ったりしたためだろう。

成功の法則を学ぶより、失敗の法則を学ぶほうが実りは多い。
成功の法則を学ぶより、失敗の法則を学ぶほうが実りは多い。

ここでは、設計上で起きた「失敗例」を、クルマのアルファベット順に紹介する。メーカーの揚げ足を取りたいわけでは決してない。現在の自動車業界は、さまざまな失敗の上に成り立っている。記事の最後に、番外編として、いつの間にか業界全体に広まってしまった「欠陥」も紹介したい。

アルファ・ロメオ・ミト:パーキングライトの操作性

ライトの点灯は、通常、ワンアクションで済む。ボタンを押すか、トグルスイッチを回せばいい。しかし、アルファ・ロメオ・ミトの場合、パーキングライトを点けるにはトリップコンピューターを操作して7つ以上のボタンを押す必要があった。しかも停車中でなければできない。また、スイッチを切るのも、同じ作業の繰り返しである。

公正を期すために言っておくと、アルファ・ロメオと同じように、フィアットにも同じような奇妙なことが起こっていた。フィアットは数年後にこのシステムを放棄する良識があった。

アルファ・ロメオ・ミト:パーキングライトの操作性
アルファ・ロメオ・ミト:パーキングライトの操作性

アウディTT:高速安定性

1998年に発表された初代アウディTTは、そのデザインに誰もが驚かされた。しかし、高速走行中の事故が多発してしまい、その対応に追われることになる。

アウディはリコールに踏み切り、サスペンションの改良、リアスポイラーの装着、ハンドリングの改善を行い、高速走行時の操縦安定性を向上させた。

アウディTT:高速安定性
アウディTT:高速安定性

シボレー・コバルト:イグニッションスイッチ

初代コバルトのイグニッションスイッチは、なんと、人の手で回さなくても簡単に回転してしまう構造になっていた。その結果、エンジンが停止し、パワーステアリング、ブレーキアシスト、エアバッグが作動しなくなるなど、その問題性は語るべくもないだろう。

ゼネラルモーターズはこの問題への対応が遅れ、巨額の罰金、議会での公聴会、多くの裁判に発展した。この問題は、コバルトが特に売れたので「コバルト問題」として知られているが、関連性の深いシボレーHHR、ポンティアック・ソルスティス、サターン・アイオン、サターン・スカイでも同じことが起きていた。対象となるモデルは、全世界で約500万台が販売された。

シボレー・コバルト:イグニッションスイッチ
シボレー・コバルト:イグニッションスイッチ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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