クルマの欠陥デザイン 自動車史に残る?設計ミス 23選 失敗から学ぼう

公開 : 2022.07.30 06:05

ルノー・クリオV6:重量配分

ラグナに搭載されていた3.0L V6エンジンを、ハッチバックのボディにミドマウントしたクリオV6。十分に速く、とてもエキサイティングな走りを見せる名車だ。しかし、少しばかり刺激的すぎる。ただでさえショートホイールベースなのに、後輪の前に背が高くて重い6気筒エンジンを搭載することは、安定性を確保する最善の方法とは言えない。

初期のクリオV6では、運転に熱中して景色が一回転してしまうという話もよく聞かれた。2代目も、目立った改善は見られなかった。英国でのプレス発表会に出席したジャーナリストたちは、テストコースの直線では好きなだけ速く走れたが、コーナーを速く回ることはルノーに禁じられた。

ルノー・クリオV6:重量配分
ルノー・クリオV6:重量配分

フォルクスワーゲン・ゴルフR32:重量配分

R32は、重い3.2L V6エンジンをフロントアクスルのほぼ前方に搭載している。直線では速いが、コーナーや段差を乗り越える際には不利だった。

少なくとも平坦な道では、後継モデルの方がはるかに優れている。しかし、狭い間隔でカーブが続く山道のようなコースでは、まだまだ不器用だ。フォルクスワーゲンは結局、R32そのものを、より軽量な2.0Lターボエンジンを搭載したゴルフRに置き換えることで、設計上の欠陥を取り除いたのである。R32の素晴らしいサウンドは過去のものとなったが、走りは比べものにならないほど良くなった。

フォルクスワーゲン・ゴルフR32:重量配分
フォルクスワーゲン・ゴルフR32:重量配分

さて、ここからは特定のクルマではなく、最近業界で広がっている「欠陥」を取り上げたい。

無理のある7人乗り仕様

5人乗りのクルマに、子供用の座席を追加して7人乗りにする例が多い。3列シート車をメインに開発されたクルマならまだしも、前者の場合、最後席はテールゲートに近い位置に設置されることが一般的だ。もし後方から追突された場合、乗員の安全性は万全とは言い難い。

このような事故に対する安全機能は、おおむね予防技術とむち打ち保護に限定されている。もしユーロNCAPや米国道路安全保険協会(IIHS)が後面衝突保護性能のテストを導入したら、欧米をはじめとする自動車メーカーはどのような反応を示すだろうか?

乗員の頭がリアウィンドウのギリギリの位置にあるクルマも少なくはない。
乗員の頭がリアウィンドウのギリギリの位置にあるクルマも少なくはない。

タッチスクリーン

タブレット端末やスマートフォンの普及に伴い、クルマにもタッチスクリーンの搭載を望む声が高まっているようだ。これは、マーケッターが間違った質問をしているためかもしれない。タッチスクリーンの欠点はよく知られている。

走行中の車内では操作しづらく、ボタンやスイッチよりも注意が必要となる。さらに、最近ではそのグラフィックが非常に魅力的で、前方の道路に集中すべき時に、グラフィックに気を取られてしまいがちだ。

タッチスクリーンの操作感や指紋残りも、好ましくない点としてよく挙げられる。
タッチスクリーンの操作感や指紋残りも、好ましくない点としてよく挙げられる。

将来、もしかしたらこの流れは逆転し、タッチスクリーンは21世紀初頭の「危険な失敗例」とみなされるかもしれない。マツダは現在、タッチスクリーンの流行に抵抗している主要メーカーの1つだ。フランスのDSでも、デザイナーが将来的に大型のタッチスクリーンを廃止しようとしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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