EVで攻勢かける韓国勢 ヒョンデ・アイオニック6 試作車へ試乗 航続距離611km

公開 : 2022.08.29 08:25

日本へ再上陸したヒョンデから、アイオニックの第2弾「6」が登場。試作段階ながら、英国編集部は優れた印象を得たようです。

Cd値0.21の流線型 バッテリー容量は77.4kWh

「サルーンではなく、ストリームライナーと呼んでください」。アイオニック6に対し、ヒョンデの担当者が口にしていた。それでもAUTOCARはサルーンと呼びたい。読者の方は、お好みでどうぞ。

少なくとも、アイオニック6がSUVではないことは確かだ。ヒョンデ・アイオニック5や、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したキア EV6が採用するE-GMPプラットフォームを基礎骨格に、低く滑らかな流線型ボディが載っている。

ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ
ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ

スケートボード構造と呼ばれる、シャシーのフロア部分に駆動用バッテリーが敷き詰められたレイアウトが一般化するバッテリーEV(BEV)は、そもそも重心位置が低い。ヒョンデは、このプロポーションが生む操縦性でのメリットを強調しなかった。

しかし、低いボディは空気抵抗で有利。それが影響し、エネルギー効率でも有利となる。

彼らが自信を見せるのが、Cd値0.21という空気抵抗。アイオニック6は、走行中に空気の力を最も受けない量産車の1台となる。その結果、一度の充電で走れる距離も伸びる。

駆動用バッテリーの容量は77.4kWhと大きく、後輪駆動モデルの場合、航続距離はWLTP値で611kmに届くとしている。同じ容量を持つアイオニック5より104kmも長い。ライバルとされる、テスラモデル3 ロングレンジと同等となる。

E-GMPプラットフォームの強みの1つが、急速充電能力。最大350kWまで対応でき、残量10%から80%まで18分で充電をこなすことができる。

170psと228psの後輪駆動と325psの四輪駆動

現在、アイオニック6でほかに知らされている情報としては、77.4kWhのほかに、ひと回り小さい53kWhの駆動用バッテリーが選べること。大きなバッテリーを載せた方では、325psの四輪駆動も選択できるそうだ。

後輪駆動版の最高出力は、まだ明らかになっていない。アイオニック5と同等の、170psと228psの2択になるだろうと考えられる。

ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ
ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ

写真でもおわかりのとおり、今回試乗したクルマは偽装されたプロトタイプ。欧州市場へは2022年から導入が始まり、2023年には本格的に各ディーラーへ並ぶという。

試乗車が、どちらの駆動用バッテリーを搭載する、何馬力のモデルなのか教えてくれなかった。運転を許された時間も短く、具体的な評価は難しい。それでも、有望なモデルになるだろうという印象は受けた。

偽装の外されたデザインも見せてくれたが、石鹸のように滑らかで個性が薄いテスラより、筆者には強い印象を与えるものだった。見る角度によってはまとまりの悪い処理もなくはないが、ディティールも見応えがあると感じた。

BMW i4ポールスター2などとは異なり、独立したトランクリッドが付いている。デザイナーによれば、高い位置にヒンジが付くテールゲートでは、空力特性とリアシート側の頭上空間に影響が出るという。開口部自体は大きく、荷室も広い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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