フルサイズ・ピックアップもEVに フォードF-150 ライトニングへ試乗 580psで515km

公開 : 2022.10.05 08:25

アメリカ車の定番といえば、ピックアップトラック。フォード最新となる、パワフルなBEV版を英国編集部が評価しました。

ツインモーターの四駆で0-100km/h加速4.3秒

まず初めに、スペック表をご覧頂きたい。今回試乗したバッテリーEV(BEV)のフォードF-150 ライトニングは、どの数字を見ても従来のフルサイズ・ピックアップトラックとは一線を画している。

最高出力は580psもあり、最大トルクは106.9kg-mと極太。車重は2989kgで、ほぼ3tだ。価格は8万5974ドル(約1220万円)と、こちらも桁違いに高い。

フォードF-150 ライトニング・ラリアット・エクステンデッドレンジ(北米仕様)
フォードF-150 ライトニング・ラリアット・エクステンデッドレンジ(北米仕様)

欧州や日本で一般的なピックアップトラックより、間違いなくサイズも大きい。全長は5910mmで、全幅は2032mm、全高は1988mmもある。

巨大なミラーを広げると2.4mを超えてしまうから、島国の一般道を気ままに運転できるクルマとはいえないだろう。アクセルペダルも優しく踏む必要がある。

既に北米で販売が始まっているF-150 ライトニングには、2バージョンが存在する。標準グレードとなるのがスタンダードレンジで、452psと106.9kg-mを発揮する。今回試乗したのは、パワフルな方のエクステンデッドレンジだ。

どちらもツインモーターの四輪駆動となり、最高出力の違いはあまり感じにくい。エクステンデッドレンジの場合、0-100km/h加速を4.3秒でこなせる。ちょっとしたスーパーカー級のダッシュ力といえる。

豪華なSUVに近いインテリア

驚異的なトルクが、アクセルペダルを傾けた瞬間から発生するが、BEVらしく扱いやすい。ボディサイズに慣れて、充分な道幅があれば、思いのほか簡単に運転できる。

商用目的で利用されるクルマとしては、ステアリングのレシオはクイック。ラダーフレームの上に載る大きなボディを軽快に操れる。手のひらへ伝わる感触は薄いけれど。

フォードF-150 ライトニング・ラリアット・エクステンデッドレンジ(北米仕様)
フォードF-150 ライトニング・ラリアット・エクステンデッドレンジ(北米仕様)

リアサスペンションには独立懸架式を採用するものの、乗り心地は先進的とまではいえない。特に広大な荷台が空の時は。SUVなら何事もなく通過できる路面の凹凸でも、F-150ライトニングはボディを揺らす。

ダッシュボードには、クロスオーバーBEVのフォード・マスタング・マッハEと共有する、縦長の巨大なタッチモニターが鎮座している。試乗車はラリアットと呼ばれる上級グレードで、内装素材にはリッチ感が漂う。

ボディは間違いなくピックアップトラックだが、5シーターのインテリアは豪華なSUVに近い。雑用をこなす実用車的な雰囲気ではない。

とはいえ、数十年も北米のベストセラーであり続けるフォードのピックアップとして、現場仕事にも問題なく使える。内燃エンジン・モデルとは異なる能力も隠し持っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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