熱々のスポーツマインド トヨタGRカローラへ試乗 304psの1.6L 3発ターボ+四輪駆動

公開 : 2022.09.18 08:25

GRヤリスに次ぐトヨタのホットハッチ、GRカローラ。最高出力304psに四輪駆動の実力を、英国編集部が評価しました。

熱々のホットハッチに対する意気込み

ヒーローは突然現れた。トヨタが本腰を入れてGAZOO(ガズー)・レーシング社を立ち上げたのは2017年。以来、2019年のGRスープラに始まり、2020年のGRヤリス、2021年のGR86と、素晴らしい量産モデルを市場へ贈り続けている。

ドライバーを喜ばせるスポーツカーでありながら、価格はお手頃。英国でも多くのクルマ好きの心をしっかり掴んだ。2022年には6速MT版のスープラを追加するなど、ラインナップは着実に強化されている。

トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)
トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)

そして今回、筆者がステアリングホイールを握ることができたのは、最新のGRカローラ。ラリーステージから引っ張り出してきたような見た目で、強いインパクトを放つ。

膨らんだフェンダーラインに、ボンネットやボディサイドに開けられたエアベント、空力的に磨かれたフロントバンパーなど、隅々までリアルな雰囲気を漂わせている。目的はただ1つ、速く走ることのようだ。

GRカローラには、コア、サーキット、モリゾウという3種類の仕様がある。最後のモリゾウが1番ハードコアで、トヨタのスポーツマインドがどれほど熱いのかを証明している。

何しろ、リアのパワーウインドウにスピーカー、テールゲートのワイパーだけでなく、リアシートまで省いて軽量化されている。GRカローラの車重は約1500kgだというが、モリゾウ仕様は1470kgに仕上がるという。

アルミホイールは軽い18インチで、6速MTはクロースレシオ化。クイックなチューニングのトルセンLSDも前後に装備される。トヨタとして、過去最も熱々のホットハッチを生み出そうという意気込みが伝わってくる。

GRヤリス譲りの1.6L 3気筒ターボは304psへ

ただし英国人にとって悲しいお知らせなのが、GRカローラは英国に上陸しないという事実だろう。理由は明確には伝えられていないが、GRヤリスが導入済みだからだと、1人の関係者は話していた。この土地には、より適していると。

別の関係者は、排気ガス規制が理由だと匂わせていた。何か障壁が存在するのだと思うが、英国は世界最大のホットハッチ市場だということを忘れないで欲しい。残酷な決定だ・・。

トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)
トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)

とはいえ、AUTOCARは英国以外でも読まれている。ひと足先に北米で開かれた試乗会で、その仕上がりを確認することにした。筆者としては、苦々しい思いが増すだけかもしれないが。

GRカローラが内包するのは、基本的にはGRヤリスのハードウエア。その獲得には、ベースとなるカローラのボディ強化が必要だった。スポット溶接は349か所追加され、パネルの接着部分は合計で約2.7mも増やされている。

さらにGRカローラ・モリゾウの場合は、接着部分の長さが約3.3mも追加され、合計で約6.1mに。ストラットタワー部分の補強も施される。これにより、剛性を大幅に高めたという。

ボンネット内に納まるのは、GRヤリスでもおなじみの1.6L 3気筒ガソリン・ターボエンジン。最大トルクは 37.6kg-mと変わらないが、最高出力は263psから304psへ1割以上も向上している。モリゾウ仕様では、最大トルクも40.7kg-mへ強化される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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