日本の新車販売どうなる? 2か月連続プラスも、受注残の解消は「まだ見通しが立たない」

公開 : 2022.11.03 18:35

10月の新車販売レポートです。やっと前年比プラスが続くように。業界関係者は、半導体不足、ウクライナ情勢、円安、新型コロナの再拡大という4重苦を懸念します。

10月の登録車 部品不足のホンダ以外はプラス 

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

半導体など部品の供給不足による生産調整や、それに伴う一部車種の受注停止は続いているものの、その影響が“次第に緩和”されつつある日本の自動車市場。
2022年10月の国内新車販売台数は、その趨向が数値となって明示された。

10月の登録車の新車販売台数は、前年同月比19.7%増の21万1542台と2か月連続のプラス。

一部グレードは納車が始まっている新型クラウン(画像はクロスオーバーGアドバンスト)。月初に発表されたトヨタの中間決算は2年ぶりの減益。円安により売上高は過去最高を記録している。
一部グレードは納車が始まっている新型クラウン(画像はクロスオーバーGアドバンスト)。月初に発表されたトヨタの中間決算は2年ぶりの減益。円安により売上高は過去最高を記録している。    トヨタ

一方、10月の軽自動車の国内新車販売台数は、同43.9%増の14万7617台と2か月連続のプラスとなる。

結果として、トータルでの国内新車販売台数は同28.6%増の35万9159台と、2か月連続での前年実績超えを成し遂げた(自販連/全軽自協の速報値)。

登録車の10月のブランド別新車販売台数では、部品の調達不足の影響が大きく出たホンダが、前年同月比24.0%減の1万9959台と低迷。それ以外は、軒並みプラスを記録する。

具体的には、トヨタが前年同月比36.8%増(10万8688台)、日産が同9.2%増(1万8633台)、マツダが同56.7%増(1万2558台)、スズキが同20.5%増(9083台)、スバルが同26.3%増(7210台)、ダイハツが同132.6%増(3570台)、レクサスが同5.2%増(2990台)、三菱自が同13.1%増(2703台)と前年実績超えを達成した。

一方、貨物車のブランドは低調が続き、三菱ふそうが同3.9%増(2223台)、UDトラックスが同15.7%増(922台)とかろうじてプラスを記録したものの、いすゞ自動車は同8.4%減(3225台)、エンジン性能試験の不正問題に揺れる日野自動車は55.0%減(2020台)と苦戦した。

軽トップのダイハツ、2位に大差 業界の声は?

軽自動車の10月のブランド別新車販売台数では、前年同月比85.5%増(5万5779台)を成し遂げたダイハツが、2か月連続でのシェアトップを獲得。

最大のライバルのスズキは、同29.5%増(4万5104台)を記録したものの1万台以上の差で第2位に甘んじた。

ダイハツは、タント・シリーズを10月3日にマイナーチェンジ(写真はカスタム)。車種によっては納車の声も届き始めた。ダイハツの軽としては、ライバルのスズキに10月は1万台以上の差をつけた。
ダイハツは、タント・シリーズを10月3日にマイナーチェンジ(写真はカスタム)。車種によっては納車の声も届き始めた。ダイハツの軽としては、ライバルのスズキに10月は1万台以上の差をつけた。    AUTOCAR JAPAN

また、ホンダは同66.5%増(2万2439台)、三菱自は同13.8%増(3458台)とプラスを達成。

一方、日産は同10.6%減(1万4315台)と低迷する。

そして、OEM供給を受けるブランドではマツダが同36.5%増(2724台)、スバルが同113.1%増(1752台)と前年実績超えを達成。対してトヨタは同14.1%減(2030台)と停滞した。

業界関係者の声は?

10月の新車販売に関して業界団体の関係者は、「前年10月の新車販売台数が統計をとり始めた1968年以来、過去最低の数字となる27万9341台と大きく落ち込んでいたこともあって、本年10月は前年同月比28.6%の大幅増を成し遂げて2か月連続での前年実績超えを記録した。ただし、新型コロナウイルス感染拡大当初の2020年10月の40万6851台にはまだ及んでいない。生産調整期間は縮小したものの、半導体など部品の供給不足は長引いており、その結果、新型車や人気車の受注残を解消できない状況が続いている」と解説する。

今後の展開については、「需要は新型車を中心に好調で、また年末にかけて多くの受注を獲得しそうな新型車や特別仕様車が精力的に発売される予定。合わせて前年同期の販売台数が低調に推移していたため、来月以降もプラスを継続する可能性は高い」

「生産調整は今後も一部で発生する見込みだが、海外を含めたサプライチェーンは改善しつつある。一方で懸念要素としては、依然として続く半導体不足やウクライナ情勢に伴う原材料の供給不足および価格高騰、円安の継続、そして新型コロナウイルスの感染者数の再拡大などが挙げられる。受注残の本格的な解消や人気車の受注再開を図れるだけの生産体制の再構築は、まだ見通しが立たない」と示唆した。

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