素晴らしい記憶を残すSUV マツダCX-5(最終回) 長期テスト 2.5Lエンジン以外は◎

公開 : 2022.12.04 09:45

操作性で勝るロータリー・コントローラー

マツダは優れた操縦性を実現するため、シャシーへ多大な努力を払っている。その能力を引き出しきれないエンジンを積んでいることには、疑問が残る。見た目や実用性、装備など多くが秀でているだけに、余計に際立ってしまう。

ただし、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のマツダCX-60へ試乗し、優れたパワートレインであることを確認している。もうすぐ長期テストにも加わる予定だから、楽しみでもある。

マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)

このクラスのSUVとして、求められる使い勝手や車内空間の要件をCX-5は満たしている。筆者の家族との暮らしにも、問題なく対応できた。

いくつかの点でライバルを凌駕する美点もあった。その1つが、ロータリー・コントローラーで操作するインフォテインメント・システム。タッチモニターへ頼る必要がなく、操作性では明らかに勝っていた。

ナビやラジオの設定も簡単。エアコンにも、実際に押せるハードスイッチがしっかり残っている。反面、有線で対応するアップル・カープレイを起動させると、タッチモニターの方が直感的だということもわかったけれど。

果敢に独自の特徴を追い求めるマツダ

CX-5に備わる明快さは、デザイナーの意識にも共通していた。インテリアの設計技術者やデザイナーも、過度に複雑にすべきではないことを理解しているようだ。長年レバーやボタンで果たせてきた機能を、あえて電動スイッチに変更する必要はない。

現代のモデル開発において、新鮮にすら感じられる姿勢だと思う。果敢に独自の特徴を追い求めるマツダだからこそ、導かれる答えだともいえる。

マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)

まあ、マクラーレンGTが恋しいことは事実。だが、CX-5との暮らしが素晴らしい記憶を残してくれたことも間違いない。こんなまとめ方ができるファミリーSUVは、決して多くはないはずだ。

セカンドオピニオ

近年のマツダは、ライバルをトヨタではなくレクサスにしたいと考えている。ハイブランド化を目指す具体的なモデルとして、CX-5は確かにその役目を果たせている。

印象的に優れる操縦性と洗練性、優れたスタイリングとインテリア、インフォテインメント・システムなどが、心から欲しいと思わせるSUVに仕立てている。ただし、ターボチャージャーは付いていても良かった。 Felix Page(フェリックス・ペイジ)

初代マツダCX-5(右)と、2代目マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(左)
初代マツダCX-5(右)と、2代目マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(左)

テストデータ

気に入っているトコロ

涼しいシート:ベンチレーション機能付きのフロントシートは、特に暑い真夏の味方だった。ブラウンのレザーの質感も素晴らしい。

ロータリーコントローラー:指紋でモニターが汚れる心配はなし。インフォテインメントのすべての操作が、手元で簡単に行える。

バックセンサー:不必要にブザーが鳴ることはない。目に見えない位置の歩行者にも、しっかり反応してくれた。

気に入らないトコロ

ステアリングヒーターのスイッチ:インテリアのデザインは素晴らしいが、ステアリングホイール・ヒーターのスイッチの場所は良くない。

眩しいモニター:インフォテインメント用モニターが夜間は明るすぎた。目がくらむほどで、安全性にも関わる。

走行距離

テスト開始時積算距離:1667km
テスト終了時積算距離:1万747km

価格

モデル名:マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
開始時の価格:3万7785ポンド(約627万円)
現行の価格:3万8905ポンド(約645万円)
テスト車の価格:3万8365ポンド(約636万円)

オプション装備

メタリック塗装:580ポンド(約9万6000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:12.5km/L
タンク容量:58L
平均燃費:11.9km/L
最高燃費:13.2km/L
最低燃費:10.2km/L
航続可能距離:692km

主要諸元

0-100km/h加速:9.3秒
最高速度:194km/h
エンジン:直列4気筒2488cc自然吸気
最高出力:193ps/6000rpm
最大トルク:26.2kg-m/4000rpm
トランスミッション:6速オートマティック
トランク容量:510-1626L
ホイールサイズ:19インチ
タイヤ:225/55 R19
車両重量:1660kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:408ポンド(約6万8000円/1か月)
CO2 排出量:182g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1286.0ポンド(約21万3000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:1286.0ポンド(約約21万3000円)
1マイル当りコスト:0.23ポンド(約38円)
不具合:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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