ポールスター2 詳細データテスト 過剰ではないハイパフォーマンスEV 運動性も快適性も高い足回り

公開 : 2023.04.22 20:25  更新 : 2023.05.06 08:27

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

ここをおいてほかに、BSTエディション270が印象付けるべく挑まなければならない領域はない。本当に期待値が大きいのもここだ。しかしながら、走り甲斐のある道に取り組むシャシーを作るには、ほかの数多くのことがより大きな意味を持つことがわかった。

通常のポールスター2では望めないことをする部分はいくつかある。運動性のクオリティは価格に見合ったもので、ロングドライブも快適にこなしてくれる。

スタビリティがアジリティに勝り、洗練されたダンピングによって、路面不整があっても熟成されて整った走りのキャラクターを乱さない。
スタビリティがアジリティに勝り、洗練されたダンピングによって、路面不整があっても熟成されて整った走りのキャラクターを乱さない。    JOHN BRADSHAW

しかし、欠けている部分はより明らかだ。横グリップそのものやハンドリングのアジリティ、バランス、安定感で、本当に人を惹きつけるスポーティなクルマと呼べるレベルには達していない。

もっとも驚かされるのは、ダンピングの衝撃的なクオリティと上質さだ。テストは出荷状態のセッティングで行ったが、フロントダンパーは伸びと縮みの双方をハードにもソフトにもかなり変更できる。

それでも、英国のA級道路やB級道路の凹凸にフィットできるようなファインチューニングを、なにか必要とするような乗り味ではない。緊密なボディコントロールは、驚くほどプログレッシブだ。

田舎道での乗り心地は硬く、張りつめた感じを覚えるが、落ち着きなく手に負えないようなところはまったくない。横方向のボディコントロールとダンパーのサポートは、どちらも秀逸だ。

大きめの入力は、不自然なほど厳然と吸収してしまい、縮んだサスペンションにもトラベルを使い切ってしまいそうな恐れは感じない。それどころか、タフな路面をものともせず飛ばせることこそが、走りをもっともうまく引き上げる要因だ。

ポールスターのシャシー補強とサスペンション改修は、BSTのパワーステアリングに重く手応えのあるフィールをもたらす。とくに、パワーアシストを最小限にセットした場合にはそうだ。たとえばハードにコーナリングすると、フロントモーターが外輪側にやや余計な要求をした場合に、それをはっきり感じることができる。

しかし、パワーを落としスロットルを抜いてシャシーを曲がるよう仕向けようとしても、得られるものはきわめて小さい。また、前後も左右も、トルクベクタリングが取り立てて効いているという証もない。攻めた走りをしても、パワーで曲がる感じはないのだ。

おそらく、北欧の寒いコンディションにはピッタリなのだろう。さもなくば、ポールスターはBSTエディション270に、並外れて熟成された運動性を意図しているのかもしれない。しかし、このクルマのシャシーは、やや鈍く、イマジネーションを本当にかき立てるものではない。

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