マツダCX-60 詳細データテスト 経済性と直6の美点を両立 内装は高質感 乗り心地は改善に期待

公開 : 2023.05.20 20:25

内装 ★★★★★★★★☆☆

PHEVのロングテストではさんざん不平を述べてきたが、決してその中になかったのは室内の雰囲気に対する不満だ。マツダが目指したのは、日本車ブランドにおける個性的なプレミアム。性質はまったく違うが、クオリティはドイツ車メーカーと同等のレベルにあるものを目標に掲げた。

タクミ仕様にはそれが顕著で、ライトメープルのウッドトリムやアブリック、レザー、独特のステッチなどに狙いが見て取れる。エントリー仕様のエクスクルーシブラインでは、レザーやファブリックの一部が、もう少し特別感のない合成皮革に置き換えられる。それでも、BMW X3あたりから乗り換えてもガッカリさせられることはないはずだ。

インテリアのデザインや質感は、プレミアムブランドにも見劣りしない。しかし、居住空間や収納、荷室は改善の余地がありそうだ。
インテリアのデザインや質感は、プレミアムブランドにも見劣りしない。しかし、居住空間や収納、荷室は改善の余地がありそうだ。    LUC LACEY

実体式のスイッチやボタンが使われ続けているのも、実用面のうれしいポイント。全体的にはシンプルな感じがある。ほとんどがポジティブに受け止められるが、デジタルメーターにもう少しフレキシブルさがあれば、より使いやすかっただろう。

ただし、キャビンの使い勝手に関しては、他を圧倒するものではない。その下にハイブリッドのバッテリーパックが収まる、高くて幅広いセンターコンソールには、深さのある収納スペースがもっとほしいところだ。実際には、ドリンクホルダーがふたつと、アームレスト下の浅い小物入れしかない。

ワイヤレス充電器のトレイも、深さが十分とは言えない。また、充電機能自体もうまく働かないことがしばしばあった。

後席のレッグルームは、アルファロメオ・ステルヴィオやアウディQ5と同程度で、BMW X3よりはややタイト。格下でも、エンジン横置きのSUVなら、これより広いものは見つけられる。

477Lの荷室容量も、ライバルに見劣りする。X3とQ5は550L、メルセデス・ベンツGLCなら620Lあるのだから。フロアボードの下にはかなり広い収納スペースがあるものの、バルキーで奇妙な形状のポリスチレンのような素材でできたパネルに大部分を占められている。おそらくは吸音機能があるのだろうが、収納スペースがこれ以上広げられなかったとは信じ難い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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