マツダCX-60 詳細データテスト 経済性と直6の美点を両立 内装は高質感 乗り心地は改善に期待

公開 : 2023.05.20 20:25

快適性/静粛性 ★★★☆☆☆☆☆☆☆

過敏なサスペンションがハンドリングに影響することはそう多くないが、快適性には絶えず障害となる。ゴツゴツした路面では常にヘッドトスがあり、衝撃と硬さのあるセカンダリーライドが状況をさらに悪くする。

特定の路面不整で混乱をきたすクルマはあるが、CX−60は種類を問わず扱い兼ねているように思える。高速道路でさえ安定することはなく、常に落ち着きのなさが見られる。信じられないかもしれないが、PHEVはさらに悪い。ここに、サスペンションが発する奇妙なきしみ音やうめくようなノイズが加わるのだ。

ハンドリングは楽しめて、マツダ車らしい味わいを感じるが、乗り心地は波打ち、ノイズは大きい。
ハンドリングは楽しめて、マツダ車らしい味わいを感じるが、乗り心地は波打ち、ノイズは大きい。    LUC LACEY

ロードノイズの遮音も強みとはなっていない。113km/hでの室内騒音は、アルファロメオ・ステルヴィオより2dBA、BMW X3より4dBA大きい。これより低価格帯のCX−5さえ凌げないのだ。

少なくとも、ドライビングポジションは快適だ。ステアリングコラムの調整範囲は大きく、長いボンネット越しに見下ろすような視界もいい。しかしそれでも、満点とはいかない。座面には長さがほしい。もしくは、長さ調整機構があるとうれしかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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