知る人ぞ知る、フランスのミドシップ・キットカーでサーキット通い! オーナーさんの素敵すぎるカーライフ

公開 : 2023.07.18 20:45

袖ヶ浦のコースを駆け抜ける見慣れない1台。「フルニエ・マルカディエFM01」というクルマでした。オーナーさんをご取材したら、夢のようなカーライフを楽しむ自動車趣味人の方でした。

フルニエ・マルカディエとは

フルニエ・マルカディエFM01。この車名を見たり聞いたりしたときに、すぐさまバルケッタのシルエットや概要をイメージできる人は相当なフランス車好きだろう。
 
6月に今季の初戦が実施された「東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)」のスポーツ走行クラスに参加した1963年式のフルニエ・マルカディエFM01は、そのレアさ具合からパドックにおいてたちまち注目の的となった。

オーナーの村田正二さん(52歳/サポートスタッフの中村 順さんも来場)は、最初のオーナーをはじめとする往時のヒストリーが判明しているフルニエ・マルカディエFM01を7年ぐらい前に買ったとのことで、同車は自転車やカートのフレーム製作者であるマルカディエさんと外装担当のフルニエさんが造ったクルマ(フランスのキットカー)なのだという。FM01の“01”は、フルニエ・マルカディエがリリースした車両の第一号であることを意味している。

村田正二さんのフルニエ・マルカディエFM01
村田正二さんのフルニエ・マルカディエFM01    高桑秀典

村田さんは1973年1月に開催されたモンテカルロ・ラリーでパット・モス選手がドライブしたアルピーヌA110 Gr.4、1974年式アルピーヌA110 1600SC、1969年式フルニエ・マルカディエ・バルゾイ(クーペ仕様)、1969年式アルピーヌA340(フォーミュラ/元ボブ・ウォレックの愛機)なども所有している生粋の自動車趣味人だ。

セミワークスカーのA110 Gr.4は本来1796ccエンジンを積んでいるが、このパワーユニットは整備済み状態でガレ―ジ内に保管しており、現在は1600ccを搭載している。つまり、既述した5台のフランス車は、いずれもゴルディーニエンジンを積んでいるということで、電気系や足まわりも含め、A110とルノー8ゴルディーニと同じなのであった。

世界的に有名なスポーツカーのパーツを使えるのでメンテナンスがラクなのかと思いきや、そうもいかない部分があるという。駆動系が特殊なので、そこがダメになるとツライらしいのだ。

車体・スペアパーツの入手方法

「A110用のパーツを調達済みで、それを1600用と1300用で分けています。このバルケッタはリヨンにあることが分かり、フランスまで行って、A110も所有しているオーナーのオリバーさんから話を直接聞いて、個人で日本に入れました。車体に描かれている69はリヨンの地区番号です」

「フランスにもヤフオクみたいなleboncoinというサイトがあって、日本からは買えないのですが、そこでパーツを見つけたらすぐさまオリバーさんに連絡し、買ってもらっています」

フランスの情報掲示板・個人取引のサイトとして知られる「Leboncoin」を利用してパーツを手に入れている。
フランスの情報掲示板・個人取引のサイトとして知られる「Leboncoin」を利用してパーツを手に入れている。    高桑秀典

そのように話してくれた村田さんによると、フランスから日本に運んできたフルニエ・マルカディエFM01のリアサスペンションがフォーミュラ用になっているため、ハブ/ドライブシャフトがダメになるとマズイそうなのだ。そして、バルブ、ピストン、シリンダーはたくさん流通しているが、エンジンヘッドが僅少なので、手に入るのであれば予備を持っておきたいともコメントしてくれた。

北九州にも村田さんと同じようにフルニエ・マルカディエのバルケッタとバルゾイを持っているA110オーナーがいて、彼の愛機はクーペ仕様のリアサスペンションがフォーミュラ用になっているのだという。どうやらフルニエ・マルカディエFM01は、オーダー時にリアサスペンションの仕様を選べたようなのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」

関連テーマ

おすすめ記事