家族で楽しめる電動のA110? アルピーヌA390 GTS(1) モーター3基の気鋭ハードを概説

公開 : 2025.11.24 18:05

家族全員でドライブを楽しめるアルピーヌ、A390 モーターは計3基 プレミアムな内装 充分すぎるほど速い469psのGTS 明らかに面白さが増すトラック・モード UK編集部が試乗

家族全員でドライブを楽しめるアルピーヌ

21世紀に復活した、アルピーヌ。第1弾となったA110は、素晴らしいスポーツカーだ。2026年内に生産を終える予定だが。2作目となったのは、ルノー5 E-テックがベースのホットハッチA290。これも、しっかり運転が楽しい。

続く3作目として、同社が目指したのは家族全員でドライブを楽しめるクルマ。それが、今回試乗したA390となる。2025年の新型車だから、バッテリーEVなことや、クロスオーバーなことへ驚く人はいらっしゃらないだろう。

アルピーヌA390 GTS(欧州仕様)
アルピーヌA390 GTS(欧州仕様)

AUTOCARの読者ならご存知の通り、アルピーヌは何よりも軽さを重視し続けてきた。A110も、約1.1tしかない。だがEVは、軽く作ることが難しい。トルクベクタリングとトラクション/スタビリティ・コントロールで、軽快感を再現したと主張される。

見た目は、明らかにA110との結びつきが意識されている。緩くカーブを描くボンネットや有機的な面構成、ラウンドしたルーフラインとリアウインドウなどへ、特徴が見てとれる。クロスオーバーとして、かなりスタイリッシュだ。

モーターは計3基 GTは400ps GTSは469ps

技術的には、ルノー・セニック E-テックと関係性が近い。だが、駆動用モーターは別物で、前に1基、後ろに2基、合計3基も載っている。テスラモデルS プレイドのように。

A390 GTでは3基とも出力は133psで、トルクは前が24.2kg-m、後ろが21.5kg-mと差がある。A390 GTSでは156psへ強化され、前が30.4kg-m、後ろが26.6kg-mと太くなる。システム総合での最高出力は、GTが400ps、GTSは469psがうたわれる。

アルピーヌA390 GTS(欧州仕様)
アルピーヌA390 GTS(欧州仕様)

この構成によって、左右のリアタイヤの回転数をモーターで直接調整でき、ブレーキなどへ頼らずにトルクベクタリングが可能。エンジンモデルでは、不可能な技術といえる。

またリア側は、大きなモーターを1基積むより、小さめの2基を背中合わせに組むことで、小型化も実現。荷室の拡大にも貢献している。

最大のライバルはアイオニック 5N

89kWhの駆動用バッテリーも、セニック E-テックとは別物で、充電量に関わらず常に最大の電力供給を可能としている。個別のセルまで、フランスで製造されるそうだ。電動パワートレインの制御電圧は400V。急速充電は、最高190kWまで対応する。

タイヤサイズは、パワーの差が大きいにも関わらず、前後とも共通。そのかわりトレッドが広く、必要なトラクションとスタビリティを得たと主張される。同じサイズにすることで、部品交換でのメリットもあるという。

アルピーヌA390 GTS(欧州仕様)
アルピーヌA390 GTS(欧州仕様)

GTには、20インチ・ホイールにミシュラン・パイロットスポーツEVが組まれ、GTSにはパイロットスポーツ4Sが組まれる。最大のライバルとなりそうなのが、ボディサイズは100mmほど短いが、ヒョンデ・アイオニック 5Nだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アルピーヌA390 GTSの前後関係

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