待望の新型登場 ホンダCR-V e:PHEVへ英国試乗 エンジンやダッシュボードはシビック譲り

公開 : 2023.08.16 08:25

スムーズで快適な印象 長距離も安楽

ホンダは、6代目CR-Vの発表資料に「刺激的」や「スポーツカー」といった表現を用いている。実際のところ、筆者の印象としては「スムーズ」や「快適」といった表現が妥当なように感じた。

CR-V e:PHEVには、状況に応じて減衰力が変化するアダプティブダンパーが標準装備。荒れたアスファルトでは若干硬さが目立ったものの、全般的に乗り心地は滑らか。不自然な揺れは抑えられている。

ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)
ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)

適度な重み付けのステアリングホイールを切ると、正確にフロントノーズが反応し、手のひらには僅かながらフィードバックが伝わってくる。アンダーステアへ転じにくく、パートナーが不快に感じる速度で飛ばさない限り、グリップ力にも不足はない。

ブレーキペダルの感触も好ましく、効きは漸進的。制御が複雑なプラグイン・ハイブリッドでは、珍しいといえる。

パワートレインも好印象。車重1916kgを183psで引き受けるため、速いとまではいえないものの、大きな不満を感じる場面は限られるだろう。駆動用モーターのトルクで発進は滑らかで、内燃エンジンのノイズは余程の高負荷時以外は聞こえてこない。

比較的速度域が高くても、駆動用モーターのみでCR-Vの大柄なボディをまかなえる点も、美点の1つ。安楽に長距離を運転できそうだ。

ファミリーSUVの必要条件は充分以上に満たす

燃費もうれしい。今回は駆動用バッテリーの電気を使い切ることはできなかったが、充電量を温存するセーブ・モード時で17.3km/Lだった。満充電時には、103kmもエンジンを始動せずに走行可能だと表示されていた。

これらは、トヨタRAV4 プラグイン・ハイブリッドと同等。最高出力は306psと、遥かに強力だが。

ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)
ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)

英国市場での6代目CR-Vの価格は、e:HEVで4万5895ポンド(約830万円)から。e:PHEVはトップグレードのみとなり、5万3995ポンド(約977万円)となる。ライバルに対し、競争力のある設定といっていい。

7シーターも選択可能なら、更に魅力度は高まるはず。ホンダらしい、キラリと光るドライビング体験が備われば、なお一層。

それでも快適で経済的で、実用性は高く、安楽に長距離を運転できる。駆動用バッテリーの容量は大きく、ファミリーSUVとしての必要条件は充分以上に満たした仕上がりだ。

ちなみに、CR-Vは2代目から4代目まで、グレートブリテン島南部、スウィンドンの工場で生産されてきた。新世代の英国仕様は、バッテリーのサプライヤーの都合で、中国の工場から運ばれてくるという。

ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)のスペック

英国価格:5万3995ポンド(約977万円)
全長:4694mm
全幅:1866mm
全高:1682mm
最高速度:194km/h
0-100km/h加速:9.4秒
燃費:125.0km/L
CO2排出量:18g/km
車両重量:1916kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:183ps(電気モーター)
最大トルク:34.5kg-m(電気モーター)
ギアボックス:2速オートマティック(内燃エンジン)+シングルスピード・リダクション(電気モーター)(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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