スバル・アウトバック 詳細データテスト クラス随一の走破性 装備やデザインは古め パワーがほしい

公開 : 2023.10.07 20:25  更新 : 2023.11.10 04:45

操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆

スバルは、ボクサーエンジンと四輪駆動システムの利点を訴え続けている。フラットなエンジンは重心高を下げ、シャシーの後方へ寄せて搭載することもできる。いっぽうで4WDは、すべりやすい路面で安全性が高い。

残念ながら、それは古い考え方のように思える。最新のトラクション/スタビリティコントロールは、平均的なドライバーが平均的な運転をしていれば、ホイールスピンを起こしたり、オーバーステア出っ放しにしたりはしない。また、まっとうなウインタータイヤやオールシーズンタイヤを履いていれば、二駆でも英国の雪が降る丘陵ならほぼ走れてしまうはずだ。

サスペンションがソフトで、低重心でもロールはそれなりに出るので、旋回前に安定させるような昔ながらの走らせ方が必要だ。スポーティではないが、つまらないわけではない。
サスペンションがソフトで、低重心でもロールはそれなりに出るので、旋回前に安定させるような昔ながらの走らせ方が必要だ。スポーティではないが、つまらないわけではない。    JOHN BRADSHAW

公道上では、アウトバックはニュートラルな感じで、グリップは必要最低限だが、前輪からのレスポンスは悪くない。ステアリングの手応えはプログレッシブに増していき、現状を十分に教えてくれる。シャシーはスロットルを残しながらでも曲がろうとして、まるでスタビリティコントロールが効いていないようだ。

低い重心高はロールを減らすというスバルの主張とは対照的に、アウトバックはソフトなサスペンションの上で大きくボディを動かすので、コーナーへ入る前にそれをおとなしくさせることが必要になる。それはやや古いタイプの運転の仕方で、スポーティではないが、つまらないものでもない。

取り回し中にステアリングをロックするまで切ると、やや洗練性に欠くように感じるかもしれない。少なくとも取り回しはまずまずしやすい。視認性はかなり良好で、ドアミラーはかなり大きい。助手席側ミラー下部の前方カメラも役に立つ。ノーマルのバックカメラは、多少ながら魚眼レンズ由来の歪みが出る。

ADASのアイサイトは、現行アウトバックのデビュー時には義務化されてなかったいくつかの機能も加わった。たとえばそれはドライバーモニタリングや制限速度警告だ。テスト車は2022年7月以前の登録なので、制限速度警告はオフにできる仕様となっている。

多くの機能はうまく働いてくれる。アダプティブクルーズコントロールなどは、反応が早くスムースだ。われわれとしては必要性をあまり感じないドライバーモニタリングとレーンキープアシストにしても、さほどうるさく介入してくることはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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