ロータリーによる再発明 マツダMX-30 R-EVへ英国試乗 幅広い人の選択肢へ加える価値アリ

公開 : 2023.11.09 19:05

航続距離がネックだったMX-30 EVにロータリーというソリューション 運転を楽しめる操縦性 快適性はレクサスUXへ並ぶ 英国編集部が評価

830ccのロータリーエンジンは発電機

マツダMX-30 EVの弱点といえたのが、カタログ値でも199kmしかない航続距離だった。英国編集部での全体的な評価は低くなかったものの、控えめな動力性能と相まって、都市部を超えた利用が難しいことは明らかだった。

そんな、セカンドカー的な位置づけの解決手段として選ばれたのが、発電機として稼働する830ccのロータリーエンジン。シリーズ式ハイブリッドへ改められたといえ、従来の純粋なバッテリーEV版も並行して店頭に並ぶ。

マツダMX-30 R-EV エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)

駆動用バッテリーの容量は17.8kWhで、駆動用モーターがフロントアクスルを動かす。1度の充電と給油で、650km程度は走れるという。価格は、英国では比較的お手頃といえる3万1250ポンド(約565万円)からに設定された。

ボディサイズは従来と変わらず、全長が4395mm、全幅が1795mmで、全高は1555mm。スタイリングは、マツダCX-30の「魂動デザイン」からの自然な発展形として描き出されたという。

トヨタC-HRより落ち着いているが、しっかりマツダらしい個性が備わる。観音開きのサイドドアが大きな特長で、背が高めのスクエアなプロポーションに、存在感のあるフロントとリアの表情が与えられている。

アルミホイールは、18インチが標準。お高めのグレードを選ぶと、ダイヤモンドカット仕上げになる。それでも、R-EVのエンブレムを見なければ、これまでのEV版と見分けはつかないだろう。

試乗車はセラミック・グレーに塗られ、ルーフとドアミラーはブラックでコーディネートされていた。オプションではあるが。

高級感が漂い好印象なインテリア

インテリアはミニマリズムが意識されているが、エアコンやオーディオなどに、実際に押せるハードスイッチも残されている。ステアリングホイールもシンプルで上品だ。

インフォテインメント・システムは、設計に優れ直感的。ラジオ選曲などにも対応する、ロータリーダイヤルが備わる点もうれしい。タッチモニターは7.0インチと、近年のモデルとしては小さめ。

マツダMX-30 R-EV エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)

シフトレバーの奥、低い位置にもタッチモニターが据えられる。ここでもエアコンなどの操作は可能だが、両側に並ぶハードスイッチの方が手っ取り早いかもしれない。

内装には高級感が漂う。センターコンソールにはコルクが貼られ、普段は手に触れないような場所でも、しっかり素材は選ばれている。ボタン類のタッチは上質で、パワーウインドウは殆ど無音で開閉する。

シートも上質で好ましい。持続可能性へ配慮した素材を用いているという。クッションは硬めで、横方向のサポート性は今ひとつ。長距離は疲れるかもしれない。

観音開きのドアを開き、リアシートへ座ってみると、前後長は充分。身長が190cmを超える筆者の場合、少し身をかがめないと天井に頭が触れてしまった。

試乗車はミドルグレードのエクスクルーシブ・ライン。パーキングセンサーにトルクベクタリング機能、パワーシートなどが備わる。

1つ下のプライム・ラインが装備も充実し、英国仕様のベストチョイスかもしれない。ヘッドアップ・ディスプレイにブラインドスポット・モニター、アップルカープレイ、バックカメラなどが備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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