荷物になり得る駆動用バッテリー ランドローバー・レンジローバー 長期テスト(4) 路上を漂うように快適

公開 : 2023.11.19 09:45

新世代へ生まれ変わり、上級志向を強めた5代目レンジ。理想的な高級SUVといえるのか、英国編集部が長期テストで確かめます。

積算1万3276km 小さなネジ1本でスローパンク

不運にも、ランドローバーレンジローバーがスローパンクに見舞われた。肉厚なオールシーズン・タイヤでも、小さなネジが1本刺さっただけで、空気は漏れてしまう。

このサイズとなると、ホイールとタイヤのセットで重さは40kg近くになるはず。修理の担当者は、相当な腕力が必要になる。

ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

積算1万8443km 高速と相性の悪いオフロード用タイヤ

長期テストの担当者が、わたし、リチャード・レーンへ交代することになった。以前の担当者により、このレンジローバーにはオフロード用タイヤが履かされていたのだが、やはり高速道路との相性は良くない。

それでも、グッドウッド・サーキットの芝生の駐車場では、ありがたいと感じた。オンロード用のタイヤでも、大きな問題はなかったかもしれないが。

ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

積算1万9157km 見た目ほど広くない荷室

レンジローバーは、引っ越しで活躍するクルマに見えるかもしれない。だが実際は、荷室はさほど広くない。リアシートは折り畳めるものの、フロントシートを充分前方へスライドしない限り、フラットな空間にはならない。

しかも全高が高く、1.9m以下の高さ制限がある立体駐車場には入れない。分割式のテールゲートは、便利なのだが。

ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

積算1万9561km 荷物になり得る駆動用バッテリー

先日、フランスまで足を伸ばしたのだが、大型SUVのレンジローバーは長距離旅行が得意分野だと思えるだろう。確かに頼りになるクルマではあるものの、多少の不満もあったことは事実だ。

それが、プラグイン・ハイブリッドというパワートレイン。郊外の宿泊施設には、電気自動車用の充電器がまだ充分には敷設されていないためだ。仮に設置されていても、バッテリーEVを優先するのが正解だろう。P440eには、6気筒エンジンが載っている。

ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

予め急速充電器の場所を把握しておかないと、225kgもある31.8kWhの駆動用バッテリーと、トランスミッションに内蔵された駆動用モーターを、荷物として運ぶことになる。その結果は、優れない燃費として返ってくる。

高速道路を丁寧に走っても、9.6km/L程度。ガソリンタンクには71.5L入るが、1度の満タンで走れる距離は、約684kmということになる。

ディーゼル・ターボエンジンで走るD350なら、12.5km/L程の燃費は堅い。80L入るガソリンタンクが載り、満タンで1000km近く走れる計算になる。軽油は価格がお手頃だし、トルクが太く長距離運転は一層安楽だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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