身体の一部に感じてくる ランドローバー・レンジローバー 長期テスト(3) 高精度なステアリング

公開 : 2023.10.21 20:25

新世代へ生まれ変わり、上級志向を強めた5代目レンジ。理想的な高級SUVといえるのか、英国編集部が長期テストで確かめます。

積算1万1321km 荷室を削る電動トノカバー

週末に、TVRグランチュラによる草レースへお邪魔した。ランドローバーレンジローバーは、パドックでのスタッフ車両として大活躍してくれた。

大量の荷物を運ぶ場面では、電動トノカバーが荷室容量を削っていることにも気づけた。快適性は古いTVRの比ではないことも、しっかり確かめられた。

ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

積算1万2515km 都市部では手に余る大きなSUV

ロンドンのように混雑した都市部では、大きなSUVは手に余る存在になりがち。今回は都合により、わたし、フェリックス・ペイジが新しいレンジローバーのカギを預かることになった。

アルミホイールへガリキズが付き、バンパーの角が凹むという、悲しい光景が頭をよぎったことは間違いない。全長は5mを超え、全幅はサイドミラーを含めると2.2m以上ある。狭い路地でロンドンバスの横をすり抜けるような環境は、想定されていないだろう。

ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

だが、荷物を沢山積んで長距離移動する必要があり、快適に運転できる内燃エンジン・モデルが必要だった。そこで、予め運転席へ座り、ボディ四隅の感覚を身体へ覚えさせることに。移動ルートを確認し、不必要に狭い道を通らないかも確かめておいた。

大型SUVを運転している感覚が薄れていく

最初のミッションは、レンジローバーをAUTOCARの立体駐車場から地上へ下ろすこと。これは、想像していたより簡単に終わった。

実際は、少し暇そうにしていた編集長のスティーブ・クロップリーへ声をかけ、レンジローバーの印象を改めて聞かせて欲しいと頼んだだけ。彼は7階の駐車場からクルマを降ろし、周辺を走らせ、エンジンも温めてくれた。

ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

レンジローバーには、最大7.3度までリアタイヤの向きが変わる、後輪操舵システムが実装されている。フォルクスワーゲン・ゴルフに迫るほど、小回りが利く。

更に、オフロードを前提としたカメラシステムは、目視しにくい壁や縁石の近接警告にも使える。数日後に自分でも試してみたが、想像以上に取り回しはしやすい。

次のミッションは、グレートブリテン島の中央部、ゲイドンにあるアストン マーティンの本社へ向かうこと。いよいよ、深呼吸をして発進。リアタイヤで歩道の縁石へ乗り上げてしまったが、緊張をほぐしながら、高速道路のM40号線へ合流する。

ところが3kmも走らないうちに、大きなSUVを運転しているという感覚は薄れていく。高速巡航時は、高級なステーションワゴンと同じくらい車内は静か。車線の中央を維持することも難しくない。

周囲の車両にとっては、大きな存在であることに間違いはないが、高速移動に過度の集中力が求められるクルマではない。運転席からの視界は良好だし、運転支援システムも非常に役に立つ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト ランドローバー・レンジローバーの前後関係

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