ロータス・エリーゼを友人から借りてみた 新モデルで通用する走り 25年前より魅力的

公開 : 2023.12.07 19:05

本来の力を発揮するKシリーズ・ユニット

ラインオフから四半世紀が経っているから、クラシックカーと呼んで良いだろう。それでも、問題なく普段使いできる。アルミニウムやFRPの腐食や劣化は、気にするほど進んでいない。

119psを発揮するローバーの1.8L直列4気筒、Kシリーズ・ユニットは、適切な温度まで上昇すれば、しっかり本来の力を発揮してくれる。かなりの距離を重ねていても。夏の期間は、殆どエンジンオイルを消費しなかった。クーラントは、少し継ぎ足した。

ロータス・エリーゼ・シリーズ1と筆者、マット・プライヤー
ロータス・エリーゼ・シリーズ1と筆者、マット・プライヤー

土砂降りの雨の後でドアを開くと、サイドシルからフロアヘ雨水が流れ落ちる。雨天時は、インジェクター周辺にも水が溜まる。駐車している間は、適切なカバーが欲しいところ。もちろん、走行中なら問題はない。

多くのクラシックカーと同様に、日常的に走っていた方が調子は良い。長期間乗らないでいると、イモビライザーがバッテリーを駄目にしてしまう。

古いホイールは、クリア層へヒビが入りがち。タイヤからはゆっくり空気が抜けていく。ヤレが気になり始めたら、サイモンが営むようなガレージを訪ねると良い。

クルマは、放置しているとすぐに劣化してしまう。エンジンも掛からなくなる。彼は毎日何台ものエリーゼの面倒を見ており、自分の1台へ充分に時間を割けない。筆者は、子供が遊ぶようにクルマの運転が大好き。お互いの利害が合致した。

2023年に発売されても最高のドライバーズカー

エリーゼは、今でも運転が非常に楽しい。以前に試乗したのは数年も前のことだが、シリーズ1はいつ運転したのかすら覚えていない。

ロードカーとして、非常に良く機能することがわかる。このまま新型としてロータスが2023年に発売したとしても、われわれを驚かせ、最高のドライバーズカーだと評価するだろう。電動化される時期はいつなのか、という疑問を抱くかもしれないが。

ロータス・エリーゼ・シリーズ1(1996〜2001年/英国仕様)
ロータス・エリーゼ・シリーズ1(1996〜2001年/英国仕様)

エリーゼや派生版のエキシージが、最後まで支持を集めた理由は、基本が最初からブレなかったから。アシストのないダイレクトなステアリングに、しなやかな乗り心地とタイトな姿勢制御、敏捷なシャシーバランス。すべてが素晴らしかった。

1996年にAUTOCARが計測したところ、車重は723kgと軽量でもあった。アリエル・アトムと、ほぼ同じ重さといえる。最高出力は119psでも、0-100km/h加速を5.5秒でこなす。これ以上必要ないと思えるほど、今でも速い。

エリーゼ・シリーズ1と数か月一緒に過ごすことができて、非常に嬉しかった。今後再び同じような機会が来ても、その印象は変わらないだろう。彼の要望へすぐに応えられるよう、良好な友人関係を保ち続けたい。

ロータス・エリーゼ・シリーズ1(1996〜2001年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万8950ポンド(新車時)
全長:3726mm
全幅:1719mm
全高:1202mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.5秒
燃費:13.9km/L
CO2排出量:170g/km
車両重量:723kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:119ps/5500rpm
最大トルク:16.8kg-m/3000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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