ポルシェ911 詳細データテスト 精密さ極まるシャシー レースカー並みの空力 積載能力はほぼ皆無

公開 : 2023.12.02 20:25  更新 : 2024.02.12 17:30

走り ★★★★★★★★★★

ストレートでのパフォーマンスは、ほぼGT3と変わらない。パワーデリバリーはすばらしくリニアで、スロットルレスポンスはきわめてシャープ。エンジン回転が7000rpm近くなると、乗員は独自のインテークが生む吸気音の絶叫に包まれる。その後も、ヘッドルーム越しに事態はエスカレートしていく。9000rpmでは、金属音の絶唱が、握りしめた拳で殴りつけるように襲いかかってくる。GT3 RSを全開にするのは、忘れられない体験だ。

いい意味で忘れられない。トルクは6300rpmで47.4kg-m、パワーはGT3より100rpm高い8500rpmで525psのピークに達するエンジンは、回さないといけないが、ややショート化されたファイナル比はRSにフィットしている。走りを楽しめる道では、169km/hに届く3速がやや走りの足枷になるが、サーキットでは問題ない。やはり本領を発揮するのはクローズドコースだ。

直線加速はライバルに及ばないが、GT3 RSはそれだけで実力を測れるクルマではない。
直線加速はライバルに及ばないが、GT3 RSはそれだけで実力を測れるクルマではない。    MAX EDLESTON

GTモデル向けのPDKは、いつものように素早く変速し、後輪への駆動力伝達を途切れさせない。回転合わせの正確さも申し分ない。ヴァイザッハパッケージのシフトパドルはマグネシウムで、911GT3カップカーに由来する新開発の磁性式ハプティックエレメントを備える。動きは身の詰まった反発があるが、無駄がなく、自然と力強くパドル操作をすることになる。まさにモータースポーツを感じさせる。

満タンでの実測重量が1476kgのGT3 RSは爆発的に速い。加速性能は0−97km/hが3.2秒、0-161km/hが7.1秒。よりパワフルなフェラーリランボルギーニマクラーレンの競合モデルほどではないが、最新RSモデルの見せ場は直線の速さではない。最高速度は296km/hと、GT3より23km/h低いが、これはダウンフォースを重視した結果だ。

どんな場合でも、ポルシェには速度を殺す秘密兵器が備わっている。とくに、ダウンフォースが効きはじめる80km/h以上からのブレーキ性能は並外れたものだ。寒いドライコンディションでは、113km/hからの完全制動に38.8mしかかからない。これはもっと軽く、妥協なく、空力性能は同じように追求した、ダラーラ・ストラダーレやマクラーレン・セナと同等だ。

公道上ではそれほど必要ではないが、サーキットでは効いてくる。強めのブレーキを残しながらコーナーへ突入した際に、スタビリティを維持する能力には驚かされる。

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