より明確な強みが欲しい 特別な車内と快適な走りは◎ DS 3 Eテンス・オペラへ試乗

公開 : 2024.02.09 19:05

ステランティスのオシャレ担当、DS 小改良で156psを獲得 航続距離は77km増し 特別な雰囲気が漂う車内に少し狭めのリアシート 英国編集部が評価

小改良で156psへ増強 航続距離は77km増し

ステランティス・グループの多くのバッテリーEVは、順調にユーザー数を増やしている。反面、DS 3 Eテンスは少々存在感が薄い様子。

2022年末のフェイスリフトで駆動用バッテリーの容量が増え、駆動用モーターの出力は向上。航続距離を伸ばしたが、他のモデルも同様にアップデートを受けたためだろう。

DS 3 Eテンス・オペラ(英国仕様)
DS 3 Eテンス・オペラ(英国仕様)

このクラスの電動クロスオーバーは、ボルボEX30スマート#1などライバルが多い。DSが強みとするのは、高級感のあるインテリアに、快適な乗り心地、上質なインテリアなど。果たして、現在の実力を確かめてみよう。

小改良後の3 Eテンスが搭載する駆動用モーターは、グループ内のハイブリッド同期型と呼ばれる新ユニットで、最高出力は156ps。低速域では静かに、高速域では高効率に仕事するよう、設計されている。

駆動用バッテリーは、実用量で50.8kWh。航続距離はグレードにもよるが、最長402kmがうたわれる。フェイスリフト前から容量が4kWh増え、新しいモーターの高効率と相まって、1度の充電で77kmも長く走れるようになった。

サスペンションはコイルスプリングに、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームという組み合わせ。小改良で車高は10mm落とされた。

スタイリングの印象は、見る人の好みによるものだが、新しいヘッドライトとブラック・クロームのフロントグリルを獲得し、凛々しさを増した。筆者は、もっとデザイン上の魅力や特長を得ても良いと思う。

特別な雰囲気が漂う車内 やや狭めのリアシート

優れたパッケージングの競合モデルが次々と登場するなかで、3 Eテンスの車内の評価は一長一短。フロントシート側は、僅かに高めの着座位置で、前方視界は良好。サイドシルの位置が高く、やや足を持ち上げる必要がある。

試乗車はオペラ・グレードで、独立したヘッドレストとマッサージ機能、調整可能なランバーサポートを備える、柔らかいレザーシートが据えられていた。調整域はもう少し広い方が、幅広い体型に対応できるだろう。サポート性も強めたい。

DS 3 Eテンス・オペラ(英国仕様)
DS 3 Eテンス・オペラ(英国仕様)

リアシート側は少々狭め。それでも、小柄な大人なら2名が問題なく過ごせる。

ダッシュボードのデザインは華やかで、工夫が凝らされている。腰より上の部分には高級感のある素材が用いられ、特別な雰囲気が漂う。だが、小物入れの内側がプラスティックのままなど、細部まで高品質というわけではない。

パワーウインドウ・スイッチなどに菱形が展開され、エアコンの送風口にも反復している。インフォテインメント用のショートカットキーは、同じく菱形のタッチセンサー。稀に反応が悪い場合があり、運転席から遠い部分は触れにくい。

タッチモニターは10.3インチ。DSアイリスと呼ばれるシステムを実装する。プジョーシトロエンと基本的に共有するが、メニュー構造はもう少し理解しやすい方が良いだろう。無線でスマートフォンと連動でき、簡単に切り替えられる点は好ましい。

新しい機能が、チャットGPTを利用した音声認識システム。正しくない回答が返ってくることも、少なくなかったが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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