過去イチに野心的で実験的 ランドローバー・ディフェンダー アウディQ8 e-トロン キアEV9 3台比較(1)

公開 : 2024.02.17 09:45

ディフェンダー 110に負けない存在感

さて、EV9は大きい。直線基調で四角いカタチは、SF映画に登場するような乗り物にも見える。ボディサイドは肉厚だが、オフローダーというより、ステーションワゴンのような雰囲気もある。

その存在感は、ディフェンダー 110の隣に並んでも負けていない。確実に凌駕するには、更なる何かが必要だとは思う。それでも、低めのボンネットやルーフライン、シンプルな面構成によって、堅牢さや重厚感などで明らかな違いを生んでいる。

キアEV9 GTラインS(英国仕様)
キアEV9 GTラインS(英国仕様)

ディフェンダー 110の方が、アイコニックなスタイリングで訴求力は強いだろう。同時にEV9は、大胆な造形と思い切ったライトなどで、上級モデルだと主張している。どちらが好ましいと感じるかは、見る人によると思うが。

EV9の運転席からの視界は、アウトドア感の漂うインテリアの仕上げに強みがある、ディフェンダー 110に届いていない。しかし、Q8 e-トロンと大差はない。

車内は広々としていて、用いられる素材は魅力的だ。いずれも過度に飾されることなく、機能性へ配慮してあるという共通点がある。現代のSUVらしく、知覚品質は高く居心地が良い。

EV9は、高級感を演出しようという試みが散りばめられている。アンビエントライトが仕込まれ、ゆったりしたフロントシートにはマッサージ機能を内蔵。電動で動くオットマンも備わる。充電が終わるまで、背もたれを倒し気持ち良く昼寝できそうだ。

この続きは、ランドローバー・ディフェンダー アウディQ8 e-トロン キアEV9 3台比較(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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