事実上「まったく新しい」 ポルシェ・タイカン 改良版の試作車へ試乗(1) 679kmに952ps

公開 : 2024.02.16 19:05

4年間に15万台売れたタイカンがアップデート 事実上まったく新しいモデル 航続距離679km 最高出力952ps 急速充電320kW 英国編集部が試作車へ試乗

4年間に15万台が売れたタイカン

ケビン・ギーク氏は23年間、ポルシェの様々な部門へ所属してきた。社員食堂を除いて。もちろん、同社で最も影響力の強いモデル開発に携わった経験もある。

バッテリーEVのタイカンでは、数100万kmにも及ぶ、走行試験プログラムを率いてきた。地球上の様々な場所で、極めて過酷な環境をともに過ごしてきたのだろう。

ポルシェ・タイカン(フェイスリフト後のプロトタイプ/北米仕様)
ポルシェ・タイカン(フェイスリフト後のプロトタイプ/北米仕様)

2030年までに、新車の販売割合の8割を電動化する目標を掲げるポルシェにとって、タイカンは非常に重要な一翼を担う。早いもので登場から4年を迎え、最新仕様として入念なアップデートが施された。

サルーンのタイカンと、クロスオーバー・ワゴンのタイカン・クロスツーリスモは、4年間で約15万台の販売を記録。英国では、同社のベストセラー・モデルに輝いている。

しかも現在のバッテリーEVでは、最も操縦性に優れた、魅力的なモデルだという定評を築き上げた。スタイリングは、未だに新鮮。フェイスリフトの必要性を、強くは感じさせない。

それでも、ライバルメーカーも攻勢の手は緩めない。BMW i4メルセデス・ベンツEQEといったドイツ勢だけでなく、ヒョンデキアなどの韓国勢も、実力では急接近中。ルーシッド・エアやニオET7、ポールスター5など、新興勢力も人気を高めている。

売れ行き好調のタイカンとはいえ、黙っているのは危うい。新技術やユーザーからのフィードバックによる機能強化が、顧客から歓迎されることは間違いない。実際には、さほど必要とされない水準だとしても。

事実上まったく新しい 679kmに952ps

ギークは、ポルシェの最長寿モデル、911の60年間に及ぶ進化を、改善で達成されるべきベンチマークとして掲げる。毎日のように改善点は発見され、車両開発へ落とし込まれると話す。

「技術は進歩し続け、新しい素材が入手可能になります。開発のペースはとても早く、発売から1年後でも新しいアイデアが実現し、これも施すべきだった、と感じる可能性はあります」

ポルシェ・タイカン(フェイスリフト後のプロトタイプ/北米仕様)
ポルシェ・タイカン(フェイスリフト後のプロトタイプ/北米仕様)

筆者は今、ボディへ僅かにカモフラージュが残された、アップデート後のタイカンに乗っている。開発のディレクションを任されたギークは、助手席だ。

ブラックアウトされた最新版で、アメリカ・カリフォルニア州を南下中。ロサンゼルスからサンディエゴへ向けて、高速道路の5号線を進む。

行程は、往復で約500km。駆動用バッテリーとモーター、シャシー、ダッシュボードのデザインまで、タイカンの進化ぶりの断片を確かめられるはず。スタイリングは、まだはっきり確認できないけれど。

ポルシェは、事実上まったく新しいクルマだと主張する。ヘッドライトの形状は僅かに変更されたとはいえ、そう見えない可能性があることも、認めているが。

航続距離は、最大で679km。今のところ、最高出力は最大で952ps。助手席側のダッシュボードにもタッチモニターが備わり、ディズニー+で映画を鑑賞できる。アップデートされた領域は、多岐に渡る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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