英国ではRAV4やZR-Vのガチ・ライバル 3代目が小改良 フォード・クーガ 2.5 PHEVへ試乗

公開 : 2024.08.10 19:05

日本未導入の3代目クーガがフェイスリフト 従来の2倍の大画面獲得 243psのプラグインHVはキャリーオーバー 優れた姿勢制御でクラス平均より上の動的能力 英編集部が評価

成功作のクーガ 従来の2倍の大画面獲得

欧州フォードにとって、全長約4.5mのクーガは成功作になった。2008年の登場時、クロスオーバー人気は現在ほど熱くなかったものの、程なく英国ではベストセラーへ躍進。3代目も、2022年にはプラグイン・ハイブリッドで最多販売の記録を残している。

そんな重要なモデルだけに、フォードはしっかりアップデートを施した。見た目や内装だけでなく、技術的にも手が加えられている。

フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)
フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)

ボディから観察していくと、変化は小さいが、ヘッドライトはシャープな造形に。フロントグリル上端にライトバーが渡され、一文字に光って見えるようになっている。バンパーの造形も、シンプルに変更された。

オプションで、明るいマトリックスLEDヘッドライトも装備可能。対向車への反応が素早く、向かってくるドライバーへ眩しい思いをさせる心配は少ないだろう。テールライトも、デザインが改められている。

車内では、新しいインフォテインメント用タッチモニターを獲得。サイズは13.2インチと、フェイスリフト前より約2倍の大画面となった。シンク4と呼ばれるOSが実装され、メニュー構造は全般的に直感的といえる。ここへ響くユーザーは多いはず。

ただし、実際に押せるハードボタンが並んでいたエアコンの操作パネルは姿を消し、タッチモニターへ集約された。サラウンドビュー・カメラ機能やパーキングアシストのショートカット・ボタンが、その下へ並ぶ。

プラグインHVは243ps ライバルはRAV4

インテリアデザインは少し地味で、最新モデル感は薄い。人工皮革が積極的に用いられている反面、ドアパネルには傷が付きやすそうな硬いプラスティックが露出している。

試乗車には、オプションのパノラミック・サンルーフが付いていた。高さ方向の余裕が多少削られていたものの、大人でも特に不満は感じられないだろう。リアシートはスライド可能だ。

フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)
フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)

パワートレインの設定は、従来からのキャリーオーバー。150psを発揮する1.5Lエコブースト・ターボガソリンの前輪駆動が、エントリーグレードのチタニウムに載る。

その上のアクティブとST-ラインでは、1.5Lターボガソリンの他、2.5L自然吸気ガソリン・ハイブリッドも選べる。このハイブリッドの最高出力は、前輪駆動で180ps、四輪駆動で183psとなる。

さらに、プラグイン・ハイブリッドも選択可能。今回試乗したのはそれで、2.5L自然吸気ガソリンに駆動用モーターが組み合わさり、システム総合での最高出力は243psになる。駆動用バッテリーの容量は14.4kWhで、トランスミッションはCVTだ。

荷室容量は、マイルド・ハイブリッドでは553Lだが、プラグイン・ハイブリッドでは536Lへ減少する。とはいえ、ライバルといえるフォルクスワーゲンティグアン e-ハイブリッドは490L、トヨタRAV4 PHEVは500Lだから、ライバルより大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事