2025年のEVへ必要なモノはすべて オペル・フロンテラ・エレクトリックへ試乗 高コスパの新SUV

公開 : 2025.01.25 19:05

数10年前、ウィザードの兄弟車だったフロンテラが復活 コスパ重視の電動クロスオーバー ローコストを感じにくい内装 想像以上に楽しい走り 現在のEVへ必要なモノは満たすと英編集部は評価

コストパフォーマンス重視のクロスオーバー

懐かしいモデル名が、バッテリーEVで復活した。数10年前、いすゞ・ウィザードの兄弟車だったオペルヴォグゾール)・フロンテラが、電動クロスオーバーとして帰ってきた。復活したルノー5とは異なり、見た目はまるで異なるが。

新しいフロンテラの全長は4385mm、全幅が1795mm、全高は1655mmで、高さ以外はハッチバックのオペル・アストラと同等。ひと回り大きいグランドランドと並んで、英国のファミリーSUV市場で攻勢を仕掛けることになる。

オペル(ヴォグゾール)・フロンテラ・エレクトリック GS(欧州仕様)
オペル(ヴォグゾール)・フロンテラ・エレクトリック GS(欧州仕様)

グランドランドは上級志向のSUVだが、フロンテラはコストパフォーマンス重視。今回試乗した電気モーター版と、ガソリンエンジン版の英国価格が2万3495ポンド(約485万円)と横並びなことは、注目に値するだろう。

実は、サイズの小さいオペル・コルサモッカ EVよりお手頃。クロスオーバーなことと相まって、高い人気を集めそうだ。

このお値段を実現したのが、コスト効率を重視して開発された、ステランティス・グループのスマートカー・プラットフォーム。ひと回り小さいモデル前提のプラットフォームを拡大したもので、シトロエンC3とも共有している。

パワートレインも、ステランティス・グループの既存品。フロントに載る永久磁石同期モーターは、112psと26.4kg-mを発揮する。駆動用バッテリーの容量は44kWhだ。

このバッテリーは、リン酸鉄リチウム・ユニットで、製造コストが安く長寿命なことが強み。そのかわり急速充電の能力は低めで、気温の影響を受けやすい。

ローコストを感じにくい内装 ゆとりある車内空間

インテリアはC3と共有部分が多く、ローコストを感じにくい。プラスティック然としたパネルがあり、ドアのグラブハンドルは省かれているものの、見た目の質感は低くない。運転支援システムの警告音は、安いキッチンタイマーのように耳障りではある。

ダッシュボード上には、10.0インチのタッチモニターとメーター用モニターが並ぶ。インフォテインメント・システムはシンプルな構成で、主要な機能には実際に押せるハードスイッチが残されており、扱いやすい。

オペル(ヴォグゾール)・フロンテラ・エレクトリック GS(欧州仕様)
オペル(ヴォグゾール)・フロンテラ・エレクトリック GS(欧州仕様)

ベースとなるデザイン・グレードでも、ワイヤレス充電パッドにUSBポート、LEDヘッドライトなどが標準装備。試乗車はGSグレードで、パーキングセンサーやティンテッドガラス、ツートーン・ルーフなどが追加されていた。

残りの予想航続距離やバッテリーの残量、平均速度などは、モニター上で確認できる。平均の電費など、もう少し情報の種類が増えればベターだ。

シートの座り心地は良好。車内空間にはゆとりを感じる。後席の着座姿勢は起き気味だが、頭上には余裕があり、背の高い大人でも窮屈さはないだろう。前席より座面の位置が高く、見晴らしも良い。

荷室容量は460Lと、クラスではトップレベル。ハイブリッドの日産キャシュカイ(旧デュアリス)と同等といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事