ロデオの後継は英国で人気 いすゞD-マックス V-クロスへ試乗 ガサツでも頼もしい働き者

公開 : 2025.02.10 19:05

前後とも大人でも不満なしの車内空間

インテリアでは、小改良でインフォテインメント・システムを更新。スマートフォンとの連携が、ワイヤレスで可能になった。メーターパネルも、上級グレードでは部分的にモニター式になる。

ダブルキャブの車内空間は、前後とも大人でも不満なし。フロントシートは座面がやや硬めで、調整域も広くはないが、座り心地は悪くない。試乗したV-クロスの場合、ハーフレザーでシートが仕立てられる。高級感が高いとはいえないが。

いすゞD-マックス V-クロス 4x4ダブルキャブ (英国仕様)
いすゞD-マックス V-クロス 4x4ダブルキャブ (英国仕様)

6速ATを選択すると、エアコンの操作パネルのデザインが、より乗用車的になる。筆者は、MTに備わる大きめのノブの付いたパネルの方が、操作性は好ましいと感じた。V-クロスでは、センターコンソール部分にワイヤレス充電パッドも備わる。

2つあるグローブボックスは大きく、ドアパネル側には大きいカップホルダーも用意される。運転席の上部には、サングラスをしまうのに丁度いい小物入れもあり、車内の使い勝手は良好だ。

インフォテインメント・システムのグラフィックは、2025年としては粗め。反応も若干鈍い。それでもカーナビの目的地は設定しやすく、運転支援システムのオン/オフも素早く簡単に済ませられる。

やや力不足でノイジー 落ち着きに欠ける乗り心地

エンジンを始動させると、実務的なディーゼルのノイズが車内へ響き、洗練された印象は抱きにくい。最高出力は同クラスでは低めで、トヨタハイラックスより動力性能は若干劣るといわざるを得ない。急加速させても、安心感があるとしても。

一般道を活発に走らせるには、自ずとエンジンの回転数を高めることに。いすゞは防音・防振性を高めたと主張するが、発進・停止の多い市街地では効果を感じにくい。そのかわり、高速道路での巡航時は充分に静かだ。

いすゞD-マックス V-クロス 4x4ダブルキャブ (英国仕様)
いすゞD-マックス V-クロス 4x4ダブルキャブ (英国仕様)

アイドリングストップ機能は、少し調整不足だろう。停止時の揺れが大きく、再始動は若干遅れ気味。

オンロードでの乗り心地も、従来的なエンジンの印象と重なる。最近のピックアップトラックには上質なマナーを叶えた例も存在するが、特に低域では硬めで落ち着きが足りない。大きいワダチなどを越えて、リアアクスルが暴れることはないけれど。

ラダーフレーム・シャシーで、サイドウォールの高いオールテレーン・タイヤを履くものの、操縦性は正確。市街地だけでなく、高速道路でも安定性は高い。

それでも、キツめのカーブなどでステアリングホイールをどの程度切るべきかは、初めは若干探る必要がある。オフロード向きなシャシーであることは、間違いないだろう。

リア側のブレーキはドラムながら、制動力は充分に強力。効きは漸進的で、減速しやすいと感じた。

燃費は、悪路から高速道路まで様々な条件を走らせて、平均12.6km/Lを得られた。カタログ値を上回る数字で、ライバルと同等といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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