直6かV8かで1杯呑める? メルセデス・ベンツ W111型カブリオレ(1) 縦積みのバンパーとライト

公開 : 2025.04.27 17:45

縦に重なったバンパーと丸目のヘッドライト

220 SEbクーペの試作車が作られたのは、1960年9月。1961年2月には、初期型の量産車が仕上がっている。公にお披露目されたのは、3月のスイス・ジュネーブ・モーターショー。ところが、ジャガーEタイプの発表と重なり、話題はそちらへさらわれた。

220 SEbカブリオレは、10月に英国で発売。価格はサルーンの220 SEより約30%高い、4400ポンドが与えられた。左右のアームがぶつかるように回るクラップハンズ・ワイパーに、足踏み式スイッチのウオッシャーなど、新しい装備には事欠かなかった。

メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

このW111型は、フロントにディスクブレーキを組んだ、最初のメルセデス・ベンツでもあった。英国の、ガーリング社製が採用されている。

クロームメッキのバンパーは、上下に2段重ねたようなデザインで、丸目のヘッドライトも縦に重なった。正方形に近いフロントグリルは威厳を漂わせ、低く垂れ下がったテールエンドは、その後のW113型メルセデス・ベンツSLともイメージを共有する。

前後にクラッシャブルゾーンが与えられ、衝突試験を経て安全性は確認済み。ボディの全長と全幅は、サルーンとほぼ同じながら、全高は約95mm低い。ボディパネルやガラス、クロームトリムは、すべて専用にデザインされた。

インテリアには、ウッドとレザーを惜しみなく利用。最上級リムジンの600に次ぐ高価なメルセデス・ベンツとして、納得の仕立てにあった。

最終形でV8エンジンを獲得したW111型

改良が続けられ、リアにもディスクブレーキを採用し、パワーステアリングとエアサスペンションが標準の300 SEが1962年に登場。1965年に220 SEbが250 SEへ交代し、1967年には300 SEは280 SEへ変更。1969年に、280 SE 3.5が登場している。

このW111型の最終モデル、280 SE 3.5は、トルクフルでスムーズなV8エンジンが北米市場でヒット。最新のボッシュ社製燃料噴射で、現地の規制をクリアした排気ガス制御を実装していた。シャシーは、新しくはないフィンテールの派生版のままだったが。

メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

スイングアクスル式のリアサスペンションや、フロントのウイッシュボーン、コイルは定期的なメンテナンスが欠かせなかった。グリスアップ・ポイントは19か所もあり、3200km毎の注油が求められた。

それでも、最高速度は201km/hで、0-100km/h加速は10秒を切っていた。フロントグリルは僅かに低くなり、クロームメッキ・バンパーの下段にはラバーモールが追加された。ただし、同じ280 SEのエンブレムが貼られた、直6エンジン仕様もあった。

かくして、280 SE 3.5カブリオレと約半額の220 SEbカブリオレ、どちらが望ましいだろうか。酒の肴になるような、悩ましい選択になる。

希少性や投資価値、走りの安楽さという点では、後者の方が間違いなく有利だろう。クラシックカーになった今では価格差が大きく、訴求する層は大きく異なるとしても。

この続きは、メルセデス・ベンツ W111型カブリオレ(2)にて。

記事に関わった人々

  • マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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