【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#4 命名・大貴族号!
公開 : 2025.04.11 12:05
「フェラーリは新興成金だが、マセラティは没落貴族だ」
数分後、連絡がきた。
タコちゃん「無事落札しました。ありがとうございますウヒャヒャヒャヒャ!」

入札者なんて、他に誰もいなかったのだ。涙。
数日後。
タコちゃんより、「清水さんのクアトロポルテが、弊社のつくばの拠点に到着しました」と連絡があり、写真が添付されていた。
それはまさに、貴族が乗るクルマだった。
マセラティを愛したハードボイルド作家の北方謙三先生は、「フェラーリは新興成金だが、マセラティは没落貴族だ」と仰ったけれど、これぞ没落貴族! 新車時は1540万円くらいしたクルマが、たったの200万円で買い叩かれ、やんごとなき畿内から坂東へと下向したのである。フェラーリV8積んでるのに! ケン奥山の傑作デザインなのに! この没落ぶりはまさにロマン!!
私は思った。「これは大貴族だな……」と。
現在、世界中からいわゆる『貴族』は消えている。残っていても、かつての特権を奪われ、資産(お城とか)の維持に四苦八苦し、入場料を取って生計を立てていたりする。増してや『大貴族』なんて、第二次世界大戦で完全に絶滅した。
しかしこのクルマには、大貴族の香りがある。もはや世界中のどこにもいない大貴族が、奇跡的に生存していたかのようだ。
命名・大貴族号。まだ実物と対面してないけれど。
(つづく/毎週金曜日昼頃公開予定)






















