フェラーリ365 GT4 BB/512 BB(2) フルスロットルのゴージャスな響き 腰痛や耳鳴りとは無縁

公開 : 2025.05.02 18:06

明確に異なるインテリアの雰囲気

1980年代初頭にかけて、フェラーリも排気ガス規制との戦いに揉まれた。それでも、512 BBの燃料インジェクション化は、可能な限り伸ばされた。マラネロ最後の、キャブレター仕様というコダワリがあった。

しかし堪えきれず、1981年に512 BBiが投入される。最大トルクは45.9kg-mが維持されたが、最高出力は340psへ低下を余儀なくされた。

フェラーリ512 BBi(1981〜1984年/欧州仕様)
フェラーリ512 BBi(1981〜1984年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

スタイリングの変更は最小限。フロントグリルが新しくなり、タイヤサイズの見直しに伴い、アルミホイールは新デザインへ改められている。

最もわかりやすい違いは、ベルトラインより下側の塗装が上部と同色になったこと。今回はレッドの1台が、1983年式の512 BBiだ。ツートーン塗装よりモダンな印象を受けるが、ボディ全体のボリュームも大きく感じられる。

アルミホイールは、社外のモモ社製。人気を高めつつあった、チューニング文化の一端が垣間見れる。

インテリアの雰囲気は、1980年式の512 BBと明確に異なる。カラーコーディネートは初代オーナーの好みといえるが、明らかに1世代新しい。1970年代風の、ゴールドやベージュ、ブラウンといった色味はなく、レッドとブラックで締められている。

大きく個性を変えたインジェクション

ステアリングホイールを握ると、インジェクションが大きく個性を変えたことが明確になる。キャブレター時代と異なり、ガソリンの噴霧は正確で、アイドリング時からマナーが良い。パワーが若干低くても、フラットスポットは存在しない。

低域から、滑らかにパワーが生まれる。加速の勢いに大差はないものの、南フランスを数日間クルージングするなら、筆者は512 BBiを選ぶだろう。明らかに親しみやすい。

フェラーリ512 BBi(1981〜1984年/欧州仕様)
フェラーリ512 BBi(1981〜1984年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

とはいえ、ベルリネッタ・ボクサーの3世代で、クラシックカー市場の人気トップは365 GT4 BB。ピュアなピニンファリーナ・デザインと希少性、高域へ颯爽と吹けるキャブレター・エンジンは、フェラーリ・コレクターへ強く響く要素といえる。

運転のしやすさでは、間違いなく512 BBiが勝る。しかし、後継モデルのインパクトは凄かった。同等の価格で同等の長所を備えた、1984年のテスタロッサへ気持ちが奪われるとしても、不思議ではない。

その間の512 BBは、通好みのV12フェラーリかもしれない。365 GT4 BBより洗練度は高く、エンジンは手懐けやすい。それでいて、オリジナルの美しさをほぼ保っている。当時のモデナ流12気筒スーパーカー像が、最も望ましいカタチで体現されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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