今も最高のホットハッチ? プジョー205 GTi MGBに代わる1台を選ぶ(3) 軽さが生む喜び

公開 : 2025.01.18 17:45

英国スポーツ・クラシックの定番:MGB 同等の予算で選べる、対抗馬的モデルは? 運転の楽しさで劣らない個性派は? ランチアにポルシェ、プジョーまで 英編集部が5台を選出

史上最高のホットハッチに数えられる205 GTi

プジョー205 GTiは、MGB並みに定番の1択といえるかもしれない。フォルクスワーゲン信者でない限り、史上最高のホットハッチだと考えるAUTOCAR読者は、少なくないのではないだろうか。

ストレートでもカーブでも、より速いモデルは数え切れないほどあるだろう。しかし、205 GTiが備える敏捷性や積極性、ダイレクトなレスポンスには、他に代えがたい魅力がある。

プジョー205 GTi(1986〜1994年/英国仕様)
プジョー205 GTi(1986〜1994年/英国仕様)

ロードスターのMGBを置き換える1台だと主張するのに、多少の抵抗があることも事実。エンジンの排気量を増やし、カラフルなストライプとオシャレなアルミホイールでドレスアップした、ショッピング用ハッチバックだという意見には一理あるだろう。

それでも、ドライバーが抱ける一体感や充足感は、多くのスポーツカーに劣らないと筆者は考えている。むしろ、沢山の荷物を載せられるパッケージングは、うれしいボーナスポイントだといっていい。

そんな喜びを生んでいるのが軽さ。MGBは920kgと軽量だが、205 GTiは910kgと更に軽い。ボディシェルは、薄いスチール材で形成されている。1980年代には、リアシートとルーフを備えたハッチバックを、ここまで軽く仕上げることが許されていた。

軽さと反応が生む以心伝心のような感覚

質素な前輪駆動パワートレインも、軽さに結びついている。エンジン自体はアルミニウム製。コンパクト・モデルでは一般化したといえる、トレーリングアームとトーションバーを採用したリア・サスペンションも、空間効率を高めつつ重さを抑えていた。

経験豊かなプジョーによる、技術的な磨き込みも205 GTiの魅力を濃いものにしている。アクセルレスポンスは即時的。ブレーキも、ペダルを踏んだぶんだけ即座に効く。良好な状態へ保っていれば、まさに以心伝心のような感覚さえ抱ける。

プジョー205 GTi(1986〜1994年/英国仕様)
プジョー205 GTi(1986〜1994年/英国仕様)

今回ご登場願ったクルマは、クラッチペダルが重かった。ケーブル交換直後なことが理由だろう。右ハンドルの205では、珍しくない悩みといえる。

アシストのないステアリングホイールを回せば、頬が緩む。フロントノーズの反応は、想像以上に素早い。ストロークは若干長めだが、シフトレバーの動きも軽い。50km/hで運転していても、惹き込まれるほど面白い。

ロックトゥロックは3.9回転で、レシオはクイックなわけではない。しかし、フロントタイヤのグリップ力とトーアウト、ボディの軽さと短いオーバーハングが、際立つ軽快感を実現している。

205 GTiへ乗ってすぐ、ドライバーはシャシーの能力に満たされる。フロントタイヤは、狙った旋回ラインを堅持。リアタイヤは身軽に追従するだけでなく、スタンス調整すら可能としている。トルクステアもアンダーステアも、殆ど気にならないはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

MGBに代わる1台を選ぶの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事