自動車史に残るフランスの名車 21選 世界を魅了した革新性と美しさ

公開 : 2025.05.24 18:25

シトロエンC6

CX、GS、XMなど、ここで紹介するのにふさわしいシトロエンのモデルは数多くある。しかし、C6を取り上げたのは、アウディBMWジャガー、メルセデスなどの競合他社が保守的な路線を選択した中、あえて異なる道を歩んだからだ。まず、C6のデザインは、凹型のリアウィンドウなど、革新的だったCXの要素を継承している。

C6のオリジナルデザインは2000年に発表される予定だったが、実際にショールームに登場したのは2005年のことだった。その前から、フランスのジャック・シラク大統領は試作段階のC6を自身の愛車として使用していた。電子制御のハイドラクティブ・サスペンションによる滑らかな乗り心地を考えれば、その理由も容易に理解できる。

シトロエンC6
シトロエンC6

シトロエンDS

フランス車を代表する1台といえば、多くの人はシトロエンDSを思い浮かべるだろう。DSは、セーヌ河周辺のシックな雰囲気を象徴するクルマとして知られているが、そのような表面的な印象だけでは、この偉大なシトロエンの真価を十分に表現することはできない。1955年に発売された当時、DSは、当時の米国車の過剰なスタイリングでさえも及ばない、衝撃的なほど大胆で斬新なデザインだった。その洗練されたラインは、液体と気体を用いたセルフレベリング・サスペンションと見事に調和し、驚くほど滑らかな乗り心地を実現していた。

DSの唯一の足かせは、トラクシオン・アヴァンから引き継いだ1.9Lエンジンだったが、後に大型エンジンに切り替えられ、最終的にはDS23に2.3Lのフューエルインジェクションエンジンが搭載された。また、DSと同じ外観ながら、信頼性の問題となった複雑なサスペンション機構を省いた、安価なIDも発売された。

シトロエンDS
シトロエンDS

ドライエ135

ドライエは長年にわたり、地味で堅実なクルマを生産してきたが、1935年にスポーティな135を発売して、突然方向転換を図った。一見、3.2L直6エンジン(サーキット用エンジンをシャシーに搭載)の最高出力は95psまたは110psと、あまり期待の持てるスペックではなかった。しかし、135は速さとパワーを見せつけ、1938年にロブ・ウォーカー氏がブルックランズで運転した1台が「英国最速のロードレーシングカー」となった。

135は戦後も、大型の3.6Lエンジンと、4速マニュアルまたはコタル(Cotal)製プリセレクター・トランスミッションを搭載して生産が続けられた。この段階でも、135はすべて右ハンドル(フランスの道路では逆側)で生産されていたが、これは戦前のコーチビルドの慣習の名残だった。

ドライエ135
ドライエ135

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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