自動車史に残るフランスの名車 21選 世界を魅了した革新性と美しさ

公開 : 2025.05.24 18:25

ファセル・ヴェガHK500

ファセル・ヴェガはコーチビルダーだったが、1954年に最初のモデル『FV』で自動車生産に乗り出した。このスタイルは1958年にHK500へと進化し、米国クライスラー製の6.0L V8エンジンを搭載した。360psものパワーを誇るHK500は、当時欧州で最もパワフルなクルマの1つだった。しかし、初期のモデルは、1960年にフロントディスクブレーキが採用されるまで、性能の劣るドラムブレーキが使われていた。

とはいえ、最大のセールスポイントは性能ではない。HK500はラグジュアリーGTであり、キャビンは非常に豪華なものだったが、ウォルナット材のような見た目の大型ダッシュボードは実際には塗装された金属板だった。

ファセル・ヴェガHK500
ファセル・ヴェガHK500

ジェンティ・エイキロン

フェラーリマクラーレンのような名門ブランドを脅かすハイパーカーが次々と発表されている中、フランスから登場した数少ないモデルの1つがジェンティ・エイキロン(Genty Akylone)だ。最高速度350km/h、0-100km/h加速2.7秒と、スペックに不足はない。ツインターボチャージャー付き6.0L V8エンジンから発生する1200psものパワーにより、静止状態から300km/hまで2.5秒で到達すると予測されている。これは、マクラーレンP1を上回るタイムだ。

エイキロンは15台ほどが生産された。

ジェンティ・エイキロン
ジェンティ・エイキロン

リジェJS2

リジェは、ロードカーよりもモータースポーツ分野で知名度が高いメーカーだが、JS2は、元レーシングドライバーで元ラグビー選手でもあるギ・リジェ氏が、公道走行重視の顧客をターゲットに開発したモデルだ。アルピーヌA110を彷彿とさせる、シンプルで頑丈なスチール製のチューブフレームに、グラスファイバー製ボディを載せている。1970年の発売時、シトロエンSMと同じ2.7L V6エンジンを採用したが、プロトタイプにはフォードのV6エンジンが搭載されていた。

JSという車名は、リジェ氏の親友であるレーサー、ジョー・シュレッサー(Jo Schlesser)氏にちなんだものだ。1970年から1977年にかけて、JS2は150台しか生産されなかった。その主な理由は価格の高さと、リジェがロードカーの販売よりもレース活動に注力していたためだ。

リジェJS2
リジェJS2

マトラ・バゲーラ

マトラ・バゲーラがフランス最高の自動車の1つに数えられるようになった理由は、圧倒的なパフォーマンスを持っていたから……ではない。このクルマを際立たせたのは、その革新的な設計だった。まず、ロードカーにミドシップエンジンを採用した初期のモデルでありながら、3人の大人が快適に座れるキャビンを確保していた。さらに、スチール製のスペースフレームに複合素材製のボディパネルを組み合わせていた。

このシャシーとトーションバーサスペンションにより、バゲーラは優れたハンドリングを実現した。シムカ製のエンジンがもっとパワフルで洗練されていれば、バゲーラはセンセーションを巻き起こしていただろう。それでも、1973年から1980年までの間に4万7802台が販売された。

マトラ・バゲーラ
マトラ・バゲーラ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事

        ×