自動車史に残るフランスの名車 21選 世界を魅了した革新性と美しさ

公開 : 2025.05.24 18:25

マトラ・ジェット

非常に美しいクルマであるマトラ・ジェットは、アルピーヌA110と同様に、ルノー8のエンジンとトランスミッションを効果的に採用したフランス製スポーツカーだ。最高出力は72psという控えめなものだが、グラスファイバー製のボディにより、車両重量はわずか615kgに抑えられている。

デザイナー、ルネ・ボネ氏の航空工学の知見がジェットの構造にもはっきりと表れているが、そのおかげで販売価格は高くなり、十分な台数を捌くことができず、利益を上げられなかった。最終的に1681台のジェットが生産され、マトラはF1や耐久レースといった大舞台に躍り出た。

マトラ・ジェット
マトラ・ジェット

マトラ・シムカ・ランチョ

フランスの自動車メーカーは、バンを改造してシンプルな乗用車を作ることに長けているが、マトラ・シムカ・ランチョは、単なる部品の寄せ集めにとどまらない存在だった。地味なシムカ1100 VF3バンをベースとし、後部座席、窓、そしてスポットライトなど、オフロード仕様のさまざまな装備が追加された。

四輪駆動でもなければ、大型ホイールやオフロードタイヤも装備されていない。しかし、ランチョはオフロード性能に欠けるものの、スタイリッシュな威風でそれを補い、多くの購入者に愛された。1.4Lのガソリンエンジンは鈍重だったが、1977年から1984年の間に5万6700人がランチョを購入した。

マトラ・シムカ・ランチョ
マトラ・シムカ・ランチョ

MPMエレリス

もっと成功していてもおかしくないフランス車は数多くあるが、その中で、MPMエレリスは最も評価に値するクルマの1つだ。4ドア・クーペとして設計され、高所得層ではなく一般大衆を対象としており、価格は1万6500ユーロ(約270万円)からと、ごく普通の乗用車と肩を並べるものだ。

PSA製の1.2Lターボガソリンエンジンを搭載し、最高出力130psと控えめな性能だが、同クラスの他車よりも約25%軽い軽量ボディでそれを補っている。

MPMエレリス
MPMエレリス

MVSヴェンチュリ

ポルシェ911へのフランス流の対抗馬、というのがMVSヴェンチュリとその後継車であるアトランティックについてよく使われたフレーズだが、実際にはロータス・エスプリとの共通点の方が多かった。ミドシップエンジンの2シーターで、スチール製のシャシーに複合素材ボディを載せている。販売台数は2車種合わせて750台程度と、ポルシェとの比較はまったく成り立たなかった。

ヴェンチュリ260は最高速度270km/h、0-100km/h加速5.3秒と速く、アトランティックは最高速度275km/h、0-100km/h加速4.9秒を記録した。エンジンは、PRV(プジョー・ルノー・ボルボ)の3.0L V6ターボだが、このユニットは重量があり、ハンドリングにはマイナスに働いた。

MVSヴェンチュリ
MVSヴェンチュリ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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