ゴルフ GTIと同じ4気筒ターボ 6代目 フォルクスワーゲン・ポロ GTI(1) 7年目なハードを再確認

公開 : 2025.06.30 19:05

ゴルフ GTIと同じ4気筒ターボを積むポロ GTI チェック柄クロスのシート 荷室はクラス最大級 不満ない207ps ギア比がショートなら一層の興奮 限界の8割くらいが特に満たされる UK編集部が試乗

ゴルフ GTIと同じ2.0L 4気筒ターボ

バッテリーEVの普及とファミリーSUVの人気に伴い、従来的な小さなハッチバックは選択肢が減り続けている。ホットハッチと呼べる前輪駆動モデルでいえば、英国で選べるのはミニ・ジョン・クーパー・ワークスか、このポロ GTI程度になってしまった。

ただしミニは、新世代と呼べる水準での大アップデートを最近受けた。一方のポロ GTIは2018年に登場して以来、そこまで変化はしていない。お値段は、物価上昇に合わせて大幅に高くなっているけれど。

フォルクスワーゲン・ポロ GTI(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ポロ GTI(英国仕様)

現行のポロは6代目。GTIで最大の魅力といえるのが、ゴルフ GTIと同じEA888型 2.0L 4気筒ターボエンジンを積むことだろう。207psと32.5kg-mという、かなりの動力性能を得ている。2021年のフェイスリフトを機に、当初より7ps上昇した。

7速デュアルクラッチAT(DSG)が組まれる、前輪駆動に変わりはなし。機械式のリミテッドスリップ・デフではなく、ブレーキ制御でトルクを有効に伝える、電子制御式ディファレンシャル・ロック、「XDS」が実装される。

8代目ゴルフへ寄せた顔つき 15mm低い車高

見た目も、前期型とは異なる。8代目へ進化したフォルクスワーゲン・ゴルフとイメージを寄せるため、前後のライトなどを中心に更新されている。それでも、現在の同社のラインナップでは、新鮮味が強い方には入らないだろう。

レッドのストライプがあしらわれたフロントグリルや、テールゲート中央で、GTIのロゴが光る。アルミホイールは17インチが標準。ブレーキディスクも、GTIでは大径になる。

フォルクスワーゲン・ポロ GTI(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ポロ GTI(英国仕様)

サスペンションには、車高が15mm落ちレートが高いコイルスプリングと、専用ダンパーを採用。英国仕様では、アダプティブダンパーが標準になる。アンチロールバーとホイールハブ、ステアリングナックルも、通常のポロとは異なるという。

車重は1303kg。2018年には軽く思えなかったが、2.0t超えのバッテリーEVが珍しくない今では、まったく心象が異なる。

シートはチェック柄クロス 荷室はクラス最大級

インテリアは、スタイリングと同様に、スポーティさを誇示するタイプではない。全体的なデザインは通常のポロと変わらず、ダッシュボード上にレッドの差し色が施される程度。それもマット仕上げで、派手すぎない。

シートはチェック柄のクロスで覆われた、スポーツタイプ。ここでは、GTIであることが主張されている。サポート性が高く、座り心地も良いが、座面の位置はやや高めだ。理想へ近い運転姿勢を探せるとは思う。

フォルクスワーゲン・ポロ GTI(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ポロ GTI(英国仕様)

後席側は、平均的な大人2名が充分に座れる空間がある。荷室容量は355Lとクラス最大級。後席の背もたれを倒せば、1125Lへ拡大できる。床面の高さを調整でき、荷物用のフックもあり、多様な使い方に対応するはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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