カエル似のライト ナマズ似のグリル デイムラーSP250 & モーガン・プラス8(1) 英国製V8の世界
公開 : 2025.07.06 17:45
古くから英国車でも採用されてきた、太いトルクに勇ましい響きのV8エンジン 設計の起源には日産やGMも ベントレーにモーガン、マクラーレンまで、UK編集部が個性的な10台の魅力を再確認
トルクフルな特性 ビート刻むサウンド
V型8気筒エンジンと聞いて、真っ先に思い浮かぶ国はアメリカだろう。だが歴史を振り返ると、英国の自動車メーカーもその可能性へ古くから注目していた。トルクフルな特性にビートを刻む勇ましい響きが、大西洋の反対側でもドライバーを魅了してきた。
確かに第二次大戦以前、V8エンジンを手掛けていた英国の自動車メーカーは、数えるほどしかなかった。スタンダード社やオートビア社といったブランドは、既に現存していない。それでも、様々なクラスのモデルへ採用されてきたことも事実だ。

今回は、編集部選りすぐりの英国製V8エンジン・モデル、10台を揃え、2台毎の試乗で魅力を振り返ってみることにした。ただし、アメリカ製ユニットを積んでいた、ジェンセンやACカーズなどは見送っている。
MP4-12CのV8は日産ユニットがベース
モーガン・プラス8は、ローバーが提供するV8エンジンを積んでいたが、その起源はゼネラル・モーターズにあることをご存知かもしれない。それでも、ローバーが金型と製造・販売の権利を購入し、多様な目的を前提に進化を経た英国製ユニットだといえる。
マクラーレンMP4-12CのV8エンジンは、1990年代後半に開発された、日産のル・マン・マシンへ積まれたユニットがベースなことはご存知だろうか。その潜在能力を最大限に引き出し、磨き込んだのは、マクラーレンの技術者だ。

技術の進化を象徴したような傑作から、不調に悩まされた労作まで、個性豊かな10台が一堂に会した。まずは、クラシック・スポーツから乗り始めていこう。
魅力の中心にある2.5L V8エンジン
1959年から1964年に製造された、FRP製ボディを持つ2シーターのロードスターが、デイムラーSP250「ダート」。この魅力の中心にあるのは、2.5L V8エンジンだ。
技術者のエドワード・ターナー氏が、世界最高の1基を目指して設計したユニットは、パワフルでシルキー。半球状の燃焼室にオーバスクエア比率のシリンダー、軽いプッシュロッド、混合気を均一に送る吸気マニフォールドなどが、その鍵を握っていた。

ボディ後端にはテールフィンが控えめに伸び、最高速度は196km/h。グレートブリテン島中部、コヴェントリーに拠点を置いたデイムラーがこんなモデルを発売するとは、当時は誰も予想しなかったはず。ところが、主要市場のアメリカでは不発に終わった。
彼の地では無名ブランドで、スタイリングは少々華やかさに欠けていた。サービスを受けられるディーラーも限定的だった。クライスラーが「ダート」という名称の権利を保有しており、改名が迫られたことも、イメージとしてはプラスに働かなかった。







































































































