実燃費22.5km/L超 新型 ルノー・シンビオズ(2) 市街地キビキビ 高速道路はしっとり

公開 : 2025.08.07 19:10

日常へスッと馴染むSUVが目指された、シンビオズ ドイツ風のシャープなボディライン 後席の位置で調整できる荷室容量 普段使いに充分な動力性能 軽快な操舵感でキビキビ UK編集部が試乗

普段使いに充分な動力性能 静かで滑らか

ルノー・キャプチャーよりひと回り大きいSUVが、シンビオズ。試乗したパワートレインは、52psの駆動用モーターが組まれたフル・ハイブリッド(HV)で、総合160psを発揮する。0-100km/h加速は9.1秒で、普段使いには充分な動力性能を叶えている。

ただし、4速ATはドライバーがギアを選べるわけではない。Dレンジに入れ、音楽を楽しみながら、ゆったり走らせるのが似合うタイプ。エンジンと駆動用モーターのバトンタッチはシームレスで、ペダルの反応も自然で滑らかだ。

ルノー・シンビオズ E-テック145 アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・シンビオズ E-テック145 アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

駆動用バッテリーの容量は、1.4kWh。市街地などでは、エンジンを回さずある程度の距離を静かに走行できる。他方、E-セーブ・モードが備わり、充電量を高く保つことも可能。高速道路や延々と続く登り坂など、エンジンへの負荷が高い場面で役に立つ。

トランスミッションは従来から改良を受け、ギクシャク感が低減された。それでも、50km/h前後で2速へシフトアップするプログラムなため、市街地では少しエンジンノイズが目立つ場面はある。

軽快な操舵感でキビキビ 乗り心地は少し硬め

マニュアルがお好みなら、6速MTが組まれる1.3LガソリンターボのマイルドHVが良いだろう。エンジンの洗練度は高く、そこそこ強力で、満員状態でなければ活発に走る。

乗り心地と操縦性は、ファミリーSUVらしく穏やか。落ち着いた姿勢制御に、不満ないグリップ力と正確に反応するステアリングで、カーブが連続する区間でも運転しやすい。

ルノー・シンビオズ E-テック145 アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・シンビオズ E-テック145 アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

市街地では、すわりが良く軽快な操舵感でキビキビ操れる。大径ホイールと引き締まったサスペンションの影響か、乗り心地はルノーとしては硬め。高速道路ではしっとり安定し、疲労度を抑えつつ安心感が増す。静寂性も、ライバルより上だろう。

フロントタイヤのトラクションは、もう少し高くても良い。きついカーブから勢いよく脱出する場面で、抜けがちだった。

現実的な燃費は22.5km/L超 優れた価格競争力

燃費は、カタログ値で23.3km/L。今回の試乗では、様々な条件での平均で22.7km/Lが表示されていた。このクラスのSUVとしては、かなり優秀だといっていい。一度の満タンで、最長800km走れると考えられる。市街地では、25.0km/Lに届いていた。

ちなみに、短い時間ながら試したマイルドHVは、平均15.2km/L。駆動用モーターとバッテリーの効果が見て取れる。

ルノー・シンビオズ E-テック145 アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・シンビオズ E-テック145 アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

英国での価格は、約2万8000ポンド(約546万円)から。日産キャシュカイ(旧デュアリス)のe-パワーより10%もお手頃で、競争力に長けた設定といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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