DS、高性能モデル開発に前向き 若い世代へアピール 新CEO、事業拡大に意欲示す

公開 : 2025.07.31 18:45

DSはフォーミュラEに参戦している経験を活かし、高性能モデルを発売する可能性があります。欧州で重要な「高級車ブランド」としての地位を固め、若い顧客層にもアピールするなど販路拡大を目指しています。

フォーミュラEへの参戦を活かす

DSオートモビルは、パフォーマンス重視のモデルを導入する意向を示唆した。高級車ブランドとしての地位の確立を目指している。

DSは過去10年にわたってフォーミュラEに参戦し、レーシーなコンセプトカーもいくつか発表しているが、本格的な高性能モデルはまだ開発していない。

2022年公開のDS『Eテンス・パフォーマンス』コンセプト
2022年公開のDS『Eテンス・パフォーマンス』コンセプト    DS

しかし、先日開催されたロンドンePrixで、新CEOのザビエル・プジョー氏はAUTOCARに対して、この構想の実現を検討していると語った。

「フォーミュラEへの取り組みと合致する、よりパワフルなモデルやエンジンを検討することは、当社にとって一貫性のあることかもしれません」と同氏は言う。

「わたしは、レーシングカーへの取り組みはDSにとって重要だと考えています。レースはダイナミズムとエネルギーをもたらし、ロードカーを刺激し、エンジニアを刺激し、そして市販車に進化したテクノロジーの恩恵をもたらし、真の競争優位性をもたらす力があるからです」

DSは2022年、最高出力800ps超のコンセプトカー『Eテンス・パフォーマンス』を公開し、高性能モデル導入の可能性をほのめかしていた。

フォーミュラEに参加するもう1つの利点は、このレースシリーズが「若い観客を魅了している」ことであり、若い顧客層を開拓できるとプジョー氏は述べた。

「これは当社のEVに関するメッセージと一致しています。多くの利点があるのです。わたしにとってキーワードは『加速』です。それはすべてを加速させます」

「超高級化」の方針は否定

プジョー氏は、若年層向け戦略により、将来的に高性能モデルを発売する可能性を認めた。

DSは独立11周年を迎えたが、これまで新製品の投入は少なかった。今年に入り、新型フラッグシップ『No8』を発表し、DS 4も改良に伴い『No4』へと改名した。

新型DS No8
新型DS No8    DS

プジョー氏によると、No8の売上目標は設定されておらず、販売台数だけが成功の指標ではないという。

「DSは高級車ブランドです。ドイツのブランドはBMWアウディ、メルセデスに見られるように、数十年にわたり確固たる地位を築いてきました。しかし、ポールスターのような新しいブランドも登場しています。欧州における高級車ブランドの重要性が示されていると言えます」

「高級車は(欧州市場における)販売台数の4分の1、利益の40%を占めています。当社(ステランティス)のようなグループにとって、DSのような高級車ブランドを持つことは重要なのです」

6月、デザイン責任者のティエリー・メトローズ氏はロールス・ロイスベントレーを例に挙げ、DSが将来的に高いレベルを目指すと述べていた。しかし、プジョー氏はこの考えを否定し、「それらの超高級車(ウルトラ・ラグジュアリー)ブランドからインスピレーションを得ることはできますが、わたし達のポジションは高級車(プレミアム)です」とした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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