これぞブランド本来のカタチ? 誕生 DS No8(1) 上級サルーン「9」置換のハードを深掘り

公開 : 2025.07.07 19:05

サルーンの9を置換するNo8 ブランド本来の姿を体現? 航続は最長749km プレミアムな車内でも後席狭め シングルモーターの好バランスな走り ハイドロサス彷彿の快適性 UK編集部が試乗

DS本来の姿を体現したモデル?

最新のNo8こそ、DS本来の姿を体現したモデルかもしれない。シトロエンから独立し、プレミアムブランドとして再出発したDSによる、新たな挑戦でもある。メルセデス・ベンツBMWなどのユーザーを振り向かせるという、大きな期待を背負っている。

プロポーションは独特だ。ルーフラインはファストバック風で、長いリアドアはリムジンのようでもある。車高は1580mmと高めで、クロスオーバーに近い。筆者の第一印象では、直接的なライバルは思い浮かばなかった。スタイリッシュなことは間違いない。

DS No8 エトワール・ハイレンジ(欧州仕様)
DS No8 エトワール・ハイレンジ(欧州仕様)

DSがベンチマークだと主張するのは、価格や性能では、メルセデス・ベンツGLCアウディQ6 e-トロン。一方、価格帯はQ4 e-トロンに属するところがポイント。コストパフォーマンスの高さも、強みの1つに設定されている。

上級バッテリーEVの競争は、他に増して厳しい。プレミアムさを狙いつつ、低めの価格で訴求するというのは、やや矛盾するように思える。このクラスのユーザーは保守的でもあり、馴染みのないディーラーへ足を向かわせるのは簡単ではない。

基礎骨格はSTLAミディアム 航続は最長749km

No8は、間接的に上級サルーンの9を置き換えるモデル。その販売は低調で、2020年の発売以来、英国では139台しか売れなかった。だが大胆なスタイリングと上質なインテリア、長い航続距離との相乗で、巻き返しを図ることになる。

プラットフォームは、プジョーe-3008やシトロエンC5 エアクロスなども採用する、STLAミディアム。パワートレインは3種類あり、ベーシックな259psのシングルモーターには73.7kWhの駆動用バッテリーが組まれ、航続距離は最長571kmが主張される。

DS No8 エトワール・ハイレンジ(欧州仕様)
DS No8 エトワール・ハイレンジ(欧州仕様)

280psのシングルモーターでは97.2kWhへバッテリーが増量し、最長749km。合計350psのツインモーターも選べるが、航続距離は655kmへ縮まる。急速充電は最大160kWまで。理想条件なら、27分で残量20%から80%へ回復できる。

エントリーグレードはパラス。装備は充実し、無線でのスマートフォン・ミラーリング機能にスマホの充電パッド、バックカメラ、前後のシートヒーター、デュアルゾーン・エアコンなどが備わる。エトワール・グレードでは、フロントグリルが光る。

プレミアムな車内空間 後席側はやや狭め

インテリアデザインは、スタイリングと同様に興味深い。肌触りの良い贅沢な素材が惜しみなく用いられ、ゴージャスな雰囲気の醸成に成功している。

前席側は、ダッシュボードからドア側へ繋がるように、アルミニウム製の化粧パネルが展開。両端の大きなアルミ製エンドプレートには、間接照明とスピーカーが内蔵され、グラブハンドルも兼ねている。

DS No8 エトワール・ハイレンジ(欧州仕様)
DS No8 エトワール・ハイレンジ(欧州仕様)

後席側は前後方向に広く、リラックスした体勢を取れる。ただし、なだらかに傾斜したルーフラインの影響で、上下方向は狭め。ガラスルーフで高さを稼いでも、筆者にはやや窮屈に感じられた。リムジンを置換するなら、もう少しのゆとりはあって良い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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