いまの市販車でベスト・オブ・ベスト BMW M340i 名機のB58直6 ブレない高い完成度

公開 : 2025.10.22 19:05

市販車のベスト・オブ・ベストといえるM340i スムーズでパワフルな直6エンジン 連続するカーブをリズミカルに駆け抜けるシャシー ライトMらしい走り味 UK編集部が最新仕様へ試乗

走りの訴求力が高い直6エンジンのM340i

BMWは変化を恐れない。ミニマリスティックなデザインの次世代、「ノイエクラッセ」シリーズの登場は目前だ。エンジンで走る次期3シリーズも、その流れへ乗ることは間違いないだろう。

ただし、それはもう少し先の話。現行のG20型3シリーズも、2025年仕様としてアップデートを受け、魅力維持へ務められている。特にプラグイン・ハイブリッドの330eでは、駆動用バッテリーが拡大され、電動化が一歩先へ進められた。

BMW M340i xドライブ(英国仕様)
BMW M340i xドライブ(英国仕様)

AUTOCARとして着目したいG20型は、走りの訴求力が高い直列6気筒エンジンのM340i。キドニーグリルやテールパイプはクロームメッキではなく、グロスブラックで統一される。アルミホイールも、ツートーン仕上げの選択肢が用意される。

スタイリングは、小変更で前後のバンパーを更新。ヘッドライト内臓のデイライトは、ノイエクラッセへ寄せた点灯パターンを獲得している。内装のトリムはカーボンファイバーの他、ウッドかアルミを選べる。

ライトMらしい印象 長距離のベストパートナー

エンジンは、B58型でそのまま。BMW X3 M50へ僅かに劣る、374psと50.9kg-mを発揮する。トランスミッションは、8速オートマティック。一部の市場では後輪駆動も選べるが、英国では四輪駆動の一択となる。

先日、B58型エンジンを積んだ3台による、比較試乗をお伝えした。お読みいただいた方もいらっしゃるかと思うが、スムーズでパワフルな名機といえる。8速ATとの相性も素晴らしい。マイルド・ハイブリッド化され、現実的に14.0km/Lの燃費も狙える。

BMW M340i xドライブ(英国仕様)
BMW M340i xドライブ(英国仕様)

英国では450ポンド(約9万円)のオプションとなる、アダプティブダンパーを組んだシャシーは理想的。最もソフト側へ振っても、引き締まった姿勢制御は変わらないが、一般道でも高速道路でも快適といえ、ライトMらしい印象も楽しめる。

ヒップポイントが路面へ充分に近い、ドライビングポジションは望ましい。シートの座り心地にも優れ、長距離のベストパートナーになるはず。

連続するカーブをリズミカルに駆け抜ける

グレートブリテン島の路面では、スポーツ・モードは硬すぎる。コンフォート・モードが、落ち着いていて好ましい。ステアリングはクイックすぎずスローすぎず、フィードバックはしっかり。リアアクスル主導のパワーバランスがうれしい。

リミテッドスリップ・デフは標準装備。スタビリティ・コントロールをトラクション・モードにすると、パワーオーバーステアへ興じれる。

BMW M340i xドライブ(英国仕様)
BMW M340i xドライブ(英国仕様)

仮に前後同サイズの18インチ・タイヤで、後輪駆動ならどんな走りを楽しめるのだろう。四輪駆動の試乗車では、フロントタイヤのトラクションも小さくなく、テールを流すにはアンダーステアを打ち破る必要があるからだ。その挙動も、やや唐突といえる。

それでも、これらは贅沢な悩み。連続するカーブをリズミカルに駆け抜けられる、素晴らしいバランスのサルーンであることへ、疑う余地はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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