インホイールモーターで540馬力 ルノー新型『5ターボ3E』がドリフト披露

公開 : 2025.10.10 18:05

標準車との共通点はほんのわずか

5ターボ3Eは、レトロスタイルの現行ルノー5をベースとしつつ、専用プラットフォームと専用ボディ、そして2基のインホイールモーターを備えている。

最大トルクは約490kg-m(4800Nm)に達するというが、実際に路面に伝達されるトルクはその10%程度と思われる。

ルノー5ターボ3E
ルノー5ターボ3E    ルノー

0-100km/h加速は3.5秒以下、0-200km/h加速は9.0秒以下、サーキット専用モードでの最高速度は270km/hに達するとされている。

後輪に内蔵されるインホイールモーターは、従来型のモーターよりも素早く動力を伝達できるほか、車輪をより精密に制御し、「大幅な」軽量化と省スペース化が可能になると言われている。

このインホイールモーター技術は英国のプロティアン・エレクトリック社が開発したもので、電子制御ディファレンシャルは不要とのことだ。

70kWhバッテリーも俊敏性を重視して配置され、「驚異的な」ドリフト能力を実現したとされている。専用のドリフトモードやラリーカースタイルのハンドブレーキも装備される。

航続距離は最大400kmだが、サーキットで全開走行した場合、バッテリーが15分から20分しか持たないことはルノー自身も認めている。

サーキット走行を想定した熱管理システムにより、最高速度の270km/hで走行した後、350kWで急速充電で15分に15~80%の充電が可能だという。

ルノーのCEOであるファブリス・カンボリーヴ氏は、次のように述べている。

「5の顧客ニーズを可能な限り幅広くカバーすることが重要でした。魅力的な価格帯からスタートしつつ、極限の感覚を求める人々にもこのクルマを提供したいと思いました」

「こんなに運転が楽しいクルマがあるのなら、限界に挑戦しない手はありません」

オールアルミニウム製のプラットフォームは、アルピーヌが開発した。「スーパーカーに匹敵するレベル」を目指し、性能、軽量化、敏捷性、効率性を徹底的に追求した。

ボディもカーボン複合素材による専用設計で、標準のルノー5から引き継がれたのはサイドミラー、ドアハンドル、テールライトのみ。車両重量は約1450kgで、バッテリーの大型化やモーターの追加にもかかわらず、標準車よりわずか1kgの増加にとどまる。

目指したのは小さなスーパーカー

スタイリングとしては、初代の5ターボと5ターボ2を踏襲しながら、スーパーカーのような外観に仕上げられた。空力特性を重視した前後バンパー、フロントスプリッター、ダウンフォースを強化する大型エアアウトレット付きのボンネットを装備する。

サイドのエアスクープはリアライト下部に空気を導き、乱流を抑える働きがある。また、リアフェンダーのエクステンション(延長部)、モーター冷却用の大型インテーク、20インチホイールなどを備え、全体的に低く重厚な印象を与える。

ルノー5ターボ3E
ルノー5ターボ3E    ルノー

ボディサイズは全長4080mm、全幅2030mm、全高1380mmで、標準車と比べて全長が158mm、全幅が256mm、全高が118mm増している。フロントガラスを後退させ、ホイールベースを2570mmに延長することで、「スーパーカーの全幅とシティカー(Bセグ車)の全長」というコンセプトを実現した。

ルノー・グループのデザイン責任者であるヴァン・デン・アッカー氏は、設計時に直面した課題について次のように語っている。

「最大の敵は、バッテリーによる重量です。このクルマの車重は1450kgですが、アルミ製のアルピーヌA110が1000kg強であることを踏まえ、さらなる軽量化を目指しています。重量と価格が最大の難点です。重量との戦いには終わりがありません」

車内には、アルカンターラ張りのバケットシート2席、手織りのタータンチェックのダッシュボード、6点式ハーネス、そして軽量カーボン素材がふんだんに使用されている。標準の5と同じ10.1インチのインストゥルメント・ディスプレイと10.25インチのインフォテインメント用タッチスクリーンが搭載されるが、1980年代風のデザインとなっている。運転席は専用カラーだ。

開発過程で得られた気づきについて問われると、ヴァン・デン・アッカー氏はこう答えた。

「夢を現実のクルマに落とし込めることを学んだと思います。わたしは長年、デザインの仕事を続けてきましたが、コンセプトカーの前で『これは将来の方向性を示すものだが、さまざまな理由で実際のクルマはこうはならない』と説明してきました。最大の気づきは、会社が全面的に支援してくれればコンセプトにいかに近づけるかということです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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