【第13回】サイトウサトシのタイヤノハナシ~改めて知りたい タイヤの作り方~

公開 : 2025.10.15 12:05

コンパウンドを支える骨格部分

様々な材料を混ぜ合わせてコンパウンドを作っている一方で、タイヤの骨格となるカーカスも作られます。

ナイロンやポリエステルの原反をカレンダーと呼ばれる機械に送り込んで、表裏にゴムをコーティングします。この工程をカレンダー工程と言います。この工程を経て作られたカーカスをタイヤのサイズに合わせて裁断します。

スチールベルトに関しては、連載第1回をお読みいただくととてもよくわかります。
スチールベルトに関しては、連載第1回をお読みいただくととてもよくわかります。    きざわるみ

同様に、スチールベルトも、並べたスチールコードの表裏に薄いゴム層を貼り付け、これをある角度になるように裁断します。

この角度がスチールコードの角度になるわけです。以前、この連載の初回(【第1回】サイトウサトシのタイヤノハナシ:スチールベルト コードの角度って?)で触れましたが、この角度がタイヤの応答性に大きくかかわっているのです。

さらに、別の製造ラインで、ビード部が作られます。ピアノ線を複数本巻いて丸く束ねたワイヤーにゴムをコーティングしてビードワイヤーを作ります。これにボードフィラーとなるゴムを組み合わせてビード部となるわけです。

ビード部は、ホイールに組み付けら時に空気漏れなくタイヤとホイールを固定させる部位。ホイールにぴたりと篏合させるために精度の高さが求められるパーツでもあります。

こうやってタイヤを構成するパーツが集まって、いよいよ組み立てに入るわけです。

サイプが細かいと思わぬ苦労が

まずは、成型機の上にタイヤサイズに合わせて裁断されたカーカスが巻かれ、その上に同様にサイズに合わせたスチールベルトが2枚巻かれ、タイヤによってはキャップレイヤーなどと呼ばれる補強ベルトコードが巻かれます。最後にトレッドの素が巻かれます。

組み立てたパーツを張り合わせ、タイヤの原型にする工程を成型と言います。これが、知っているタイヤの形とかけ離れているので、とても不思議な感じがするのです。

こうして完成したタイヤが私たちの元へ。そう思って見ると感慨ひとしおです。(写真はイメージです)。
こうして完成したタイヤが私たちの元へ。そう思って見ると感慨ひとしおです。(写真はイメージです)。    中島仁菜

成型後タイヤは金型に入れられます。この金型はモールドと呼ばれています。

金型の内側にはトレッドデザインの凹凸がつけられており、中でタイヤの内側から風船(のようなもの)が膨らみ金型にタイヤを押し付けます。そのまま高温で数十分熱を入れる工程で、硫黄がゴムと反応して強度を増します。この工程が加硫です。このあたりはわりとよく聞く話ですよね。

所定に時間になるとタイヤはモールドから外されるのですが、モールドは7分割とか8分割になっていて、油圧で開きます。サマータイヤだとなんてことない工程(?)なのですが、スタッドレスタイヤで細かなサイプがたくさん入ったタイヤだったり、サイプの形が複雑だったりすると、タイヤからサイプの歯(ブレード)を引き抜くのにものすごいトルクが必要だったり、場合によってはブレードが折れてしまったりするのだそうです。トレッドデザインを設計するときには、そのあたりも考えながらモールドを作らなければいけないのだとか。

ここで初めて、今まで見て知っていた形のタイヤが現れるわけです。

この段階ではまだタイヤにヒゲがたくさん生えていて、タイヤ出来たて感満載です。このヒゲはスピューと言って、金型に押し付けた時のエア抜き穴からはみ出たゴムです。

というのがタイヤの製造工程です。皆さんもチャンスがあったらタイヤの工場見学してみてはいかがでしょう。ざっとタイヤ製造の流れを知っているとより面白く見ることができると思います。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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