【後継モデルはイタリア生まれ】EV歴14年間・3台乗り継いだ日産リーフを卒業し、フィアット600eへ

公開 : 2025.10.28 11:45

EV性能の良さは秀逸

バッテリー容量は54kWhあるのにもかかわらず車体重量は1580kgで、今のリーフとほぼ同じ。一方、航続距離は今のリーフの322kmに対して、600eは493kmもあるのが魅力です。スペック上の電費(航続距離/バッテリー容量)はコンパクトEVの中で群を抜いて優れており、日産サクラよりいい数値となっているのには驚きました。

試乗車で富士五湖の河口湖畔にある旅の駅を往復し、走行データから郊外の一般道を走行した時の航続距離を推定してみました。フィアット甲府店から旅の駅までは約30kmあり、御坂トンネルの山越えとなっています。エアコンの使用はなく、全てレスポンスの良いスポーツモードで往復しました。

河口湖畔にある旅の駅での試乗車。
河口湖畔にある旅の駅での試乗車。    小林薫

その結果、出発時92%だったバッテリー残量は79%、走行距離60km、平均電費9.3km/kWhとなり、一充電での航続距離の推定値は461kmとなりました。約1000mの山越えで、スポーツモードでの結果であり期待通りです(編集部注:試乗車実測値。数値は走行環境などにより変化します)。

ちなみに、今のリーフの同じ条件での数値は、平均電費は9.1km/kWh、航続距離の推定値は259kmです。

運転モードは、スポーツ、ノーマル、エコの3モードあります。リーフではノーマルに相当する選択はなく、スポーツだと発進が急なので、日常の市街地ではしかたなくエコモードを使用していました。600eでは、ノーマルモードで回生ブレーキ強めのBモードが良く、その回生ブレーキは走行中必要に応じて変更できるので、快適な運転ができそうです。

リーフの急速充電は、60%位になると充電電流が減り、充電速度が極端に遅くなります。しかし、600eくらいのバッテリーがあると、それがなく充電速度はそのまま続き、急速充電50kWhの利用では、充電時間は今より短くなることが期待できます。

革新的なクルマになっており、価格は決して安くはないですが、十分に価値があると思いました。ただ、多くのEVにあるV2LによるAC100Vのないことと、BYDヒョンデにあるNFC仕様のカードキーも欲しかったことが残念です。

昨年から約1年にわたっていろいろと試乗した結果、リーフの後継EVはフィアット600eとなり、新たなるEVワールドが始まります。

クルマはその国の文化そのものとも言いますが、今回の検討では、その言葉をしみじみと味わうことになりました。次回は、実際の乗り換え後の気付きと走行データについて報告します。

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    AUTOCAR JAPAN

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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